Sporaの基本的動作は従来の身代金要求型ウィルスと同様で、感染したPCのファイルを暗号化して操作不能の状態にし、暗号解除のために身代金を要求する。しかし、いくつかの点で従来のウィルスとは大きく異なっている。
SporaはPCがオフラインの状態でも動作を継続する。感染に気づいて即座にネットからPCを切り離しても、ファイルは暗号化されたままなのだ。また、感染した後も、PCの起動に必要なプログラムには障害が起こらない点も特徴と言える。Sporaの開発者らはユーザーのPCが起動不能になった場合、身代金を獲得するチャンスが減ってしまうことを理解している。
さらに、Emsisoftのリサーチャーによると、Sporaのプログラムは非常に丹念にコーディングされており、暗号を解除するためのセキュリティホールはこれまで発見されていないという。
また、Sporaがこれまでの身代金ウィルスと大きく違うのは、その身代金の支払いオプションの豊富さだ。決済にはビットコインも使用可能で、暗号の解除に当ってはまず2ファイルまでは無料で解除を可能にしている。
さらに、ファイルごとに個別に暗号解除を行なうことも可能で、その場合は1ファイルごとに30ドル。PC全体の完全リカバリは79ドルという価格設定だ。また、恐らくほとんどの犠牲者が選ぶだろうオプションとして、Sporaのウィルス感染自体を取り除くオプションが20ドルとなっている。
EmsisoftによるとSporaには専用のチャットボックスも装備されており、感染者が操作方法を質問すると、犯罪者集団が迅速にサポートを行なうという。
Sporaはさらに、今後このウィルスに感染しないためのプロテクションを50ドルの追加料金で提供している。高いと思うかもしれないが、他のオンライン詐欺と比べると比較的リーズナブルな料金設定なのかもしれない。
セキュリティ専門家によるとSporaは現在、ロシア語の使用者のみを対象に拡散中というが、今後は他の言語にも拡散する懸念があるので注意を呼びかけたい。