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2017.01.16 07:00

中国接近のフィリピンに乗り込んだ、安倍首相に託された「役割」 

Drop of Light / Shutterstock, Inc.

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フィリピン大統領のロドリゴ・ドゥテルテはかつての統治者だったアメリカに背を向け、中国に近づいている。ドゥテルテはその一方で、米国の同盟国である日本とは良好な関係を維持している。

日本と中国はどちらも東南アジアを経済、地政学的な“仲間”にしようとしている。安倍晋三首相は1月12日にドゥテルテと会談。ドゥテルテの私邸を訪問した最初の海外の首脳となった。

シンガポール在住のバークレイズのエコノミスト、ラウル・バジョリアは「フィリピンは最近関係を強化している中国と、日本との間でバランスを取ろうとしているのではないか」と述べた。

ドゥテルテは昨秋の北京訪問時、中国から240億ドル(約2兆7,500億円)の経済協力を取り付ける一方、領有権を巡って対立している南シナ海についての議論は避けた。中国は東南アジア諸国でインフラプロジェクトを推進している。カンボジアのような小さな開発途上国を取り込む動きも見せ、北京を本拠地とするアジアインフラ投資銀行と、2013年に習近平主席が提唱した一帯一路構想は、アジアでの覇権を目指す中国の強い決意を示すものだ。

日本も同様な試みを行なっているが、中国とは違い相手国の資源や政治の方向性を支配しようとはしていない。日本は資金援助の見返りとして、緊密な投資関係の維持と、中国をにらんだ防衛体制構築への協力を期待している。

例を挙げると、ベトナムにとって日本は2010年から2015年まで最大の援助国で、2014年だけでも18億ドル(約2,060億円)の援助を受けている。その資金はハノイ国際空港の新ターミナルやベトナム北部の高速道路、ホーチミンの地下鉄建設に投じられた。日本は2015年に、ベトナムに軍事面の援助も行った。

ドゥテルテは昨年10月には東京で安倍首相と会談し、18億ドル(約2,060億円)の経済協力をまとめたほか、商社の丸紅から水道や発電、インフラ分野で172億ドル(約1兆9,700億円)の投資の約束を得た。日本はフィリピンにとって最大の海外投資国で、2015年のFDI(直接投資)の28%以上が日本によるものだった。

ドゥテルテが20日のトランプ大統領就任後も反米的スタンスを続けるなら、フィリピンを対米融和の道に誘い出すのは日本の役割になるのかもしれない。

シンガポール在住の金融グループエコノミスト、ソン・スン・ウンは「中国と接近を図るドゥテルテに対し、日本の首相は彼らがどれだけフィリピンに金を注いでいるのかを思い出させるために、フィリピンを訪問しようと考えたのだろう」と分析した。

編集=上田裕資

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