実際、健康に関する全米実業家団体(雇用主団体)と投資会社のフィデリティとが先ごろ実施した調査によれば、平均的な雇用主は、従業員の福利のために1人当たり年間693ドル(約8万円)を費やしており、その金額は毎年約100ドル(約1万1,500円)ずつ増えている。
また同調査によれば、健康のために最も人気のアクティビティーは、運動プログラムと健康診断だという。
表面上、これは雇用主にとっても従業員にとってもいいことに思える。従業員にとっては健康維持・増進の役に立ち、それは雇用主にも助かることだ。
線引きはどこに?
だが、健康のための取り組みが“ぞっとする領域”に入ってしまう可能性もある。例えば、プライベートな時間にワークアウトをする際、ウエアラブルデバイスを使って成果を記録する人は増えている。
しかしもし、上司がそのデータにアクセスできるとしたらどうだろうか?
アクサPPPヘルステック&ユー(AXA PPP Health Tech & You)がイギリスの労働者を対象に行った調査では、驚くことに多くの人はそれでも構わないと考えている。
回答者の半数以上の57%が、雇用主が購入したウエアラブルデバイスを身に着けて勤務時間中の活動を監視されることについて受け入れる考えを示した。雇用主がデバイスの購入以外の金銭的インセンティブを提供する場合には、この数字はさらに増加した。
だが回答者のうち、雇用主が現在こうしたデバイスやインセンティブを提供してくれていると答えたのはわずか5%だった。
君のデータは僕のデータ
興味深いことに、従業員たちは自分たちの健康にまつわるデータを雇用主と共有することについて、態度を決めかねているようだ。彼らの半数以上は、やや抵抗は感じるもののデータを進んで共有する考えを示している。それが健康と幸せを実現する上でプラスになると考えているからだ。
成果管理にまつわることにデータが使われる場合、あるいは雇用主が健康保険を提供する国で働いている従業員は、データの共有をあまり歓迎していない。そのデータが、自分の受けるサービスに影響を及ぼすために使われることになるからだ。
それでもアクサPPPでは、データ共有の傾向は今後ますます強まる可能性が高いと考えている。
「職場でのヘルステックの利用を増やすことは、雇用主と従業員の両方にとって利益となり得る。これらの技術を導入することで、個人が自分の健康についてより良く理解するようになり、さらには実際にスマート機器やプラットフォームを通じて改善に取り組むまで、継続的にサポートを提供することが可能になるからだ」
皆さんはどうだろうか。ウエアラブルデバイスを身に着けて、仕事中のデータを雇用主と共有することは受け入れられるだろうか?