テクノロジー

2017.01.14 11:30

ビジネス向けフードデリバリー「ezCater」社 企業価値100億円を突破

CandyBox Images / shutterstock.com

一般家庭をターゲットとしたフードデリバリー業界は利益率が低いことで知られる。DoorDash やPostmatesといったスタートアップ企業は、一回25ドル程度の注文でカレーなどを宅配しているが、それが企業向けのビジネスであれば話は別かもしれない。

1月11日、ケータリングのマーケットプレイス事業を運営する「ezCater」社は、シリーズDで3,500万ドルの資金調達を行なったとアナウンスした。ボストンに本拠を構える同社の総調達額は、これで7,000万ドル(約80億円)に達した。今回の調達ラウンドを主導したのはマーク・ザッカーバーグらのシリコンバレーの大物との交流も持つICONIQキャピタルで、従来の出資元であるインサイトベンチャーズもこれに加わった。

ezCaterの共同創業者でCEOのステファニア・マレットは今回の資金を、マーケティングの強化や採用活動に充てると述べた。同社はエンジニアを現在の25名から年内に50名まで増員するとしている。2011年に資金調達を開始したezCaterは、過去18ヶ月で社員数を倍増させ、現在は175名を雇用している。

マレットは現在の売上規模を明かしていないが、同社の売上はここ数年で2倍から3倍に伸びている。ezCaterはケータリング業者と企業をつなぐマーケットプレイスで、この業態としては全米にサービスを展開する唯一の業者だという。登録レストランは5万店舗に及び、Boston MarketやRuby Tuesdayといった有名チェーンも参加している。

利用する企業は料理の種類や価格から、ミーティングの場に届く料理を選択できる。同様のサービスはGrubHubも行なっている。ezCaterは発生した売上から手数料を徴収するビジネスモデルで、レストラン向けには検索の上位に表示されるサーチ広告のメニューも提供している。

マレットによると現状では同社は利益を出せておらず、「今は利用者数の増加に注力している段階」という。しかし、一般家庭をターゲットとしたフードデリバリーに比較すると利益率は高く、将来は楽観しているという。この分野ではウーバー・イーツも同様に企業向けのデリバリーに進出している。

「弊社のビジネスモデルは一般家庭をターゲットとしたものと比べ、一度の注文での売上が10倍に及んでいる」とマレットは述べている。

調査会社のPitchBook によると、ezCaterは2015年後半の資金調達時に企業価値1億ドル(約114億円)の評価を得ていた。マレットは現在の企業価値に関してコメントを避けたが、評価額は今回のシリーズDで「飛躍的な増大を遂げた」としている。一方DoorDash やPostmates らの企業も昨年はezCaterを超える金額を調達しているが、評価額はこれまでと同様もしくは、以前を下回る額となっている。

編集=上田裕資

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