フェラーリが日本限定10台のみの「Ferrari J50」を発表、キーマンがその真価を語る

フェラーリ S.p.A. コマーシャル&マーケティング部門 シニア・バイスプレジデント エンリコ・ガリエラ


フェラーリを手に入れることは、すなわち、フェラーリ・ファミリーの一員になることを意味する。そのなかでも、発売前のフェラーリを目にすることができる人は、ほんの一握りだ。フェラーリでは生まれたばかりの赤ちゃんを親戚に披露するかのように、スペチアーレと呼ばれる限定モデルに関しても、最初に親しいファミリーから目にすることになっている。

「フェラーリでは、決して、顧客をクラスタで分けたりしません。私たちにとっては、ひとりひとりが、個別の顧客だからです。それゆえ、パーソナリゼーション、テーラーメイドといったプログラムを設けて、一台一台のクルマを個性あるフェラーリに仕上げています。その究極の形が、スペチアーレといえます。スペチアーレにおいては発表の1年前に顧客を本拠地マラネロに招き、ご覧いただいています」

すでに発表されたスペチアーレが完売となると、気になるのは次は何か?だろう。

「創立70周年にあわせて、フェラーリの歴代オープンカー最強モデル「ラ フェラーリ アペルタ」を209台の限定で発表しています。秋のパリサロンで発表したこともあって、2017年に手元に届くのを待ち望む人たちの長いリストがあります。もちろん、こちらも発表時には完売しています。スペチアーレの発表予定はありませんが、9月にマラネロでイベントを企画しています。

また、歴代フェラーリで最も価値の高い歴史的なスペチアーレ、「250GTO」の55周年でもあります。顧客がマラネロに集まり、数日間を過ごす計画を立てています。オークションなどでは5,000万ユーロで落札されることもあるため、並んだ状態では“ビリオン”の価値になると想定して、保険の準備をしています(笑)」

最後に、SUVの可能性を訊いてみた。近年、どのスーパー・スポーツカー・メーカーも、SUVの分野に乗り出しているからだ。

「非常にクリアな答えがあります。スポーツSUVを作ることはできても、それは決して、ピュアなスポーツカーではありません。アップライトに座り、2トン級のボディ重量を持つと想定すると、サーキットをスポーティに走るものではないでしょう。私たちは、エモーションを提供するために、ハイパフォーマンスのスポーツカーを生産しているのであって、その確固たるポリシーに変化はありません」

ガリエラ氏いわく、「フェラーリは日々をスペシャルにする」という。特別なクルマで日常から逃げるのではなく、フェラーリを手に入れることで、毎日がみずみずしく、特別な日になるのであれば、その価値は非常に高いと感じられるだろう。

文=川端由美 写真=網中健太

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