アルバムとシングルの累計売上枚数は3,000万枚を超え、東京ドームで過去最多の18回にわたる公演を成功させたX JAPANは今、米国での知名度獲得に向けて始動している。
「アメリカ進出は全然簡単ではない」。公演を控えた香港から電話で取材に応じた設立メンバーのYOSHIKIはこう語る。香港での時刻は午前0時を回っていたが、夜型人間を自称する彼はほとんど睡眠をとらない。米国進出に当たっての課題は多いが、メンバーは現在、中でも最大の問題である英語力の向上に努めているという。
メタリカやKISSから影響を受けつつ、ヘビメタとパンクロック、ロックンロール、そしてクラシックを融合させた自分たちのサウンドは「言い表すのが難しい」とYOSHIKIは語る。「僕らはヘビメタだけれど、ソフトな曲も作る」
新曲の「La Venus」は、来月開かれる第89回アカデミー賞の歌曲賞ノミネート作品を選ぶ予備審査の対象となった。YOSHIKIが手掛けた同曲は、X JAPANの30年にわたる波乱万丈の歴史を追ったドキュメンタリー映画「We Are X」の主題歌だ。
「ストーンズ・イン・エグザイル」や「スコット・ウォーカー 30世紀の男」のスティーブン・キジャックが監督を務め、「シュガーマン 奇跡に愛された男」のオスカー受賞チームが制作した同映画は、バンドが絶大な人気を得るに至った経緯と、絶頂期にあった1997年での解散、そして再結成までを追い、批評家から高い評価を得ている。サウンドトラックは米国で3月に発売される予定だ。
X JAPANの歴史は、リードボーカルTOSHIの自己啓発セミナー団体との関わりをめぐるスキャンダル、リードギタリストHIDEの急死(公式には自殺と断定されたが、YOSHIKIは事故死だったとの見解を示している)、元メンバーのベーシストTAIJIの自殺など、波乱に満ちたものだった。
「僕らの過去はクレイジーで現実離れしているけど、どういうわけだかまだ存続しているよ」(YOSHIKI)