国際ショッピングセンター協会(ICSC)が2016年に実施した調査で、幅広い商品について、百貨店や専門店の方がアマゾンよりも安く販売していることが判明したのだ。
調査では、ブルーミングデールやメイシーズ、セフォラなどアメリカ各地の124の百貨店や専門店で販売されている同一品の衣料品、アクセサリーや化粧品547点(非セール品)の価格を比較した。すると、商品ごとの価格で見た場合、百貨店や専門店の方がアマゾンよりも最大30%安かった。
例えば、バーバリーのバッグは・・・
同調査によれば、女性の衣料品やアクセサリーに関しては、それぞれ9%と5%、アマゾンよりも百貨店・専門店の方が安い。
たとえばシンクタンクのL2によれば、バーバリーの「Medium Banner」バッグの価格はアマゾンと直営店で大きな差があるという。同バッグは1月4日時点で、アマゾンでは3,127ドル(約36万円)なのに対し、コロラド州アスペンのバーバリーの店舗とECでは1,595ドル(約18万4,000円)だったと指摘している。
また化粧品類については、アマゾンよりも百貨店・専門店で購入する方が平均で6%安いことがICSCの調査で明らかにされた。
シャネルの香水「チャンス」の3.4オンス入りボトルの場合、その差はかなり大きい。1月4日時点での価格を比較すると、アマゾンよりもボストンにあるメイシーズの方が16%安かった(メイシーズのECでは124ドルなのに対し、アマゾンでは147.84ドル)。
これについてアマゾンにコメントを求めたが、返事はなかった。
結論を出すにはサンプル数が少なすぎる?
だがコンサルティング会社サイモン・クチャー&パートナーズの共同経営者で価格のエキスパートでもあるスーザン・リーは、17の商品カテゴリーにまたがる547商品を調査しただけではサンプルとして数が少なすぎると指摘。これだけで、非セール品の価格についてアマゾンよりも百貨店・専門店の方が総じて安価だと結論づけることはできないと警告している。
アマゾンの方が、正価(非セール品)の商品について百貨店や専門店よりも価格が高いと分かったところで、消費者はあまり気にしないかもしれない。いずれにせよ同サイトで買い物をする多くの消費者は、アマゾンに“究極の特売所”の要素を期待していないからだ。
実際、調査に回答した人の38%は、アマゾンで買い物をする主な理由に“品揃え”を挙げている。その次に多かったのが価格(29%)と配送スピード(13%)だ。
「消費者がアマゾンで買い物をする理由は価格以外のところにあると確信しています。価格よりも、ウェブ経由で簡単に買い物ができること、品揃え、配送スピード、そして返品がとても簡単だという安心感が挙げられるでしょう」とリーは言う。
それに、アマゾンが小売市場での最安値を目指しているという考え方は(一般に広まっているものの)誤解だ。実際はその逆だと、投資銀行コーエン・アンド・カンパニーのジャック・ブラックレッジ業務執行取締役は指摘する。彼は昨年12月に非営利団体リテールマーケティング・ソサエティーが開催した会議で次のように語った。
「アマゾンは価格を追う側だ。つまり最初に価格を引き下げることはせず、小売価格の下落傾向に追随する側なのだ。率先して値引きをするよりも、日々、低価格を目指すことで信頼を得ることを目指している」