ビジネス

2017.01.07 12:00

ECと実店舗の「いいとこ取り」モデルで成功、米ジュエラーの場合


リタニと提携する230店の実店舗にとっても、店舗がある(郵便番号)区域内での独占販売権を持てることと、購入者が店舗を訪れずに直接配送で購入した場合でも、担当区域内であれば収益の1%が入るという“うまみ”がある。

ニューヨーク州ウエストチェスターに店舗を構えるマイケル・ウィルソンも、リタニと数年前から提携関係にあり、満足していると語る。

「ウエストチェスターはとても裕福なコミュニティーだが、宝石店に足を踏み入れるのをためらう人は多い。リタニと提携したことで、これまでよりもやや若く、文化的にも経済的にも幅広い顧客が増えた」

2014年5月、リタニはさらにオンライン店舗と実店舗の間の“境界”を壊す新たな機能の展開(一部の店舗での展開)を発表した。実店舗にある指輪のタグにマイクロチップを埋め込み、それをiPadのアプリと同期させるのだ。

これにより、実店舗で指輪の下見をしている顧客は、目の前のスクリーンでそのジュエリーに関する詳細情報を見ることができる。ウェブサイトと同じように、アプリで表示される指輪は即座にカスタマイズが可能で、顧客は検討しているデザインについて、金属や石のサイズ、カットを変えたシミュレーションを確認することができる。

iPadを使ったこのサービスは2014年末に各店舗で開始され、2015年は同社にとってこれまでで最高の年(収益7,500万ドル=約88億円)になった。

リタニのジュエリーはミレニアル世代を意識してデザインされたものだが、そのほかの年齢グループの間でも売上は伸びている。これは同社のビジネスモデルが、業界内のビジネスモデルの足りない部分を補っていることを示唆している。

「60代、70代や80代の顧客もiPadで商品を購入してくれている」とリタニの関係者は言う。「世界は変化し続けている。そして当社は未来の競争に向けて好位置についている」

編集=森 美歩

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