キャデラックが2月1日から提供する新たな「ブック・バイ・キャデラック(Book by Cadillac)」は、会員向けに好みのモデルを貸し出す定額制サービス。契約後のどの時点でも別のモデルに変更可能であるほか、加入後に車のリース契約や購入の義務が発生することもない。
料金は月額1500ドル(約17万円)。SUVの「XT5」と「エスカレード」、セダンの「CT6」といったモデルのプラチナムグレードに加え、「CTS-V」「ATS-V」などが選択可能だ。
白手袋を着用したコンシェルジュが、会員が専用のアプリを通じて指定した場所まで出向き、希望の車の引き渡しや回収を行う。走行距離にも制限はなく、車両の登録や税金の支払い、保険加入やメンテナンス、清掃などは全て、キャデラックが行う。
料金は「割安」?
キャデラックの各モデルをリースする場合の月額料金は、大半が「ブック」の半額ほどだ。新サービスは高額にも思えるが、ブランド・マネージャーのメロディー・リーはこの点について、「財務に関する詳細な分析を行い、いくつかのモデルを検討した上での決定」だと説明している。
「投入するのは新車のみだ。ガソリンは満タンにして会員の元に届ける。その上、定期メンテナンスなど車の所有者が気にしなくてはならない全てのことを、キャデラックが請け負う」
キャデラックは5年後までに、国内のサービス提供地域を拡大していく計画だ。
狙いは次世代の消費者
前出のリーは、「ブック」が主な戦略的イニシアチブとして掲げるのは、X世代とY世代へのリーチ拡大と、次世代の消費者とブランド間の親和性の構築だと語る。
「(ブックは)キャデラックがこれまでに行ってきたことに取って代わろうとするものではなく、それらを補完するものだ。高級品市場ではX世代とY世代のどちらにも、“所有すること”に対しての考え方の変化がみられる。何かを持つことよりも、経験することを重視するようになっているのだ。自動車に対しても、望むものが変化している」
リーはまた、「私たちは、従来型の所有モデル(リースや購入)とウーバーやリフトが提供するようなライドシェア、カーシェアとの間に“空白”の部分があることに気付いた」と述べている。
「(新サービスは)無形資産ではあるが、そこには機会費用も含まれている。利用者は時間を節約すると同時に、柔軟性を手に入れることができるのだ」