世界2,200万人が使うハンドメイドフリマ「Etsy」 業績好調の理由 

Etsyのチャド・ディカーソンCEO(Photo by Paul Zimmerman/Getty Images for NASDAQ)

マーケットプレイス「Etsy(エッツィー)」の快進撃が続いている。ハンドメイドのユニークな商品が買えるEtsyは米国で創業から約12年。2015年にはIPOも果たし日本にも参入した。

同社の利用者は世界2200万人以上。年間流通総額は2,000億円を突破した。2016年第三四半期に同社は33%の売上増を報告。取引総額は19%の伸びだった。この分野は競争が激化しているがEtsyは通年見通しを上方修正した。消費トレンドが本物・ローカル・ユニークに向かう中で、2017年も引き続き好調な業績が期待できる。

筆者はEtsyでIR担当を務めるジェニファー・ビュゲルマンスに話を聞いた。

収益の50%以上はセラー(売り手)から

Etsy は世界中の170万人の売り手にハンドメイド製品を手軽に販売できるプラットフォームを提供する。課金の仕組みではダイレクトチェックアウトと呼ばれるものが最も利用されている。多様な決済手段を用意した場合、平均で50%売上が伸びるというデータも出ている。Etsyは発送や商品の告知、販売サイトの構築をクリエイティブな売り手に提供し、長期的な成長を見込んでいる。

マシンラーニングの活用

Etsyに並ぶ商品は4,000万以上に及び、顧客らをいかにナビゲーションするかが重要だ。この課題に対応するため、マシンラーニングの仕組みを導入した。「2015年にExploratory Searchという機能を取り入れ、モバイルからの商品閲覧を劇的に向上させ、クリック率が10%伸びました」(ビュゲルマンス)

2016年9月に同社はディープラーニングやマシンラーニングに特化した企業のBlackbird Technologiesを買収した。「弊社は彼らのテクノロジーを活用し、顧客の好みに応じた検索結果を表示し、買い物体験をより快適なものにしています」(ビュゲルマンス)

リピート客を離さない

Etsyは顧客らに他では手に入らない商品を提供することで、新たなショッピング体験を与えている。クリエイティブな人々が制作するオリジナルの製品が、マンツーマンで販売される。

「2012年にEtsyで買い物をしたユーザーの半分近くが、2015年になっても買い物を続けてくれています。さらに、購入金額を倍近くに増やしているとのデータもあります。一方で、2015年に買い物をした利用者の半分以上が1回しか買っていないというデータもあり、長期的に見れば、一人あたりの購入回数を伸ばすことでさらに成長が見込めます」(ビュゲルマンス)

専用の販売サイトを月額15ドルで提供

Etsyで販売を行なう人は、他のプラットフォームでも販売を行なっている。しかし、売上の点ではEtsyが最大だという。「売り手の3分の1以上が、独自の販売サイトを持ちたいと答えています。しかし、サイト運営には時間もコストもかかり、諦めている場合が多い。そこで弊社では月額15ドルで販売サイトが持てる仕組み“Pattern”を提供しています」(ビュゲルマンス)

Etsyは消費者の目線から議会に働きかける取り組みも行なっている。2016年9月には会員らとともにワシントンD.C.に向かい、議員らにスモールビジネス支援の政策変更を行なうよう提案した。また、Etsyは従来の企業との雇用関係では賃金を得られない人々に、新たな収入の機会を創出する取り組みも始めている。

編集=上田裕資

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