中国企業の米国への投資熱はなお強いが、トランプ次期政権下で保護主義が強まり、中国資本に対する締め付けが強化されれば、“爆買い”の勢いは弱まる可能性もある。ここでは1年の終わりに、中国企業による米国でのM&Aの主な案件を振り返る。
5. ワンダグループがレジェンダリー社を35億ドルで買収
中国のコングロマリット、ワンダグループは1月、ハリウッドの映画製作会社レジェンダリー・エンターテイメントを35億ドルで買収、ダークナイト、インセプション、ジュラシックパークなど人気作品の版権を得た。
中国一の富豪、ワン・ジエンリン(王健林)が率いるワンダは、米国2位の映画館チェーン、AMCエンターテイメントを2012年に26億ドルで買収。AMCは米同業のカーマイク・シネマズを12億ドルで買収する準備を進めており、ワンダは世界で最大の映画館チェーン保有企業となる。さらにワンダは9月にソニー・ピクチャーズとの提携も発表した。
4. ハイアールがGEの家電事業を56億ドルで買収
ハイアールは6月、GEの家電部門を取得した。中国の巨大企業であるハイアールは、競争が激しい米マーケットで苦戦してきたが、今回の取引で足場固めの機会を得た。
ハイアールは2008年にもGEの家電部門の取得を試みたが、価格で折り合わなかった。GEは元々、家電大手のエレクトロラックスに家電事業を33億ドルで売却する予定だったが、米司法省の反対に遭い合意を解除した。ハイアールは今後もGE のブランドの独立性を維持する。
3. 天津天海投資発展がイングラム・マイクロを約60億ドルで買収
天津天海投資発展(Tianjin Tianhai Investment)によるイングラム・マイクロの60億7,000万ドルでの買収は、中国企業による米IT企業の買収として過去最大の案件となった。
天津天海投資発展は航空や物流、観光のコングロマリットHNAグループ(海航集団)の企業。HNAグループは今年、海外買収を活発に展開した。ラディソンやパークプラザブランドを持つカールソン・ホテルズを4月に買収し、CITの航空リース事業を40億ドルで取得。また、ITアウトソーシング企業の文思海輝技術(パクテラ・テクノロジー・インターナショナル)をブラックストーン・グループから6億7,500万ドルで取得した。