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インドネシアやスリランカで作るジュエリーでは、どのようなことを表現したいとお考えですか。

山口:国の個性を投影した作品を作っていきたいですね。インドネシアは“繊細さ”や“優しさ”、スリランカは“ワイルドネイチャー”が、その国のイメージです。途上国のものづくりで私が大切にしているのは、現場に行って自分自身が感じたその国の魅力を作品として光らせる、ということです。現場に行くと、経済指標ではわからない、自然や文化面での豊かさを肌で感じられます。

山口さんのビジネスに憧れる人もたくさんいます。革新的なデザイナーは、どのようにして生まれると思いますか?

山口:デザイナーは絵を描いているだけではだめです。ものづくりの現場にいき、生産過程や素材そのもののことを知らなくてはいけない。たとえば、グラデーションのあるバッグを作りたいとする。デザイン上でならいくらでも表現できますが、一枚の皮でそのグラデーションを出せるのか、出せるとすれば、どのような工程を加えれば可能になるのか、ということを覚えなくてはいけません。

ソーシャルビジネスの第一人者でもある山口さんにぜひお聞きしたいのですが、ソーシャルビジネスの現在をどのようにご覧になっていますか。

山口:ソーシャルビジネスという言葉が一人歩きして、ビジネス、利益、継続性がきちんと揃っているのかを見つめることを忘れるようになってしまってはいけないな、という思いはあります。

私は今でも、自分のしていることがソーシャルビジネスという言葉にフィットしているかどうか疑問に感じている部分はあります。YKKのような大きな会社が途上国に工場を建てて雇用を創出しているのと比べたりすると、なおさら、自分のビジネスの規模でソーシャルビジネスと呼べるのか、と。

ただ、私たちが自信を持っているのは、現地の職人さんたちがベストな状況でものづくりができるように、全力を尽くしているということです。例えば、職人さんが「こんな道具があればもっといいんだけど」と何気なく呟くのを耳にしたら、次に日本から現地に行く時には、必ずそれを持っていく。ジュエリー制作は細かい作業で目が疲れるから目薬を用意する、照明器具を整える、などです。いい作品をつくるための環境づくりも、途上国で仕事をする上では大切です。

最後に、今後はどのようなことをモチーフにして事業を展開していきたいか、教えて下さい。

山口:お客様のライフプランに沿った品物を提案できるようになりたいですね。マザーハウスのコンセプトは、家族みんなから記念日の贈り物に選んでいただける作品づくりです。父の日の贈り物であったり、母娘の結びつきなど、そういうコンセプトに現地の素材をどう結びつけるか、結びつく素材が現地にあるのか。今後も模索し、お客様の話からインスバイアされながらものづくりを続けていけたいと思います。


山口絵理子◎マザーハウス代表兼チーフデザイナー。慶應義塾大学卒業。バングラデシュBRAC大学院開発学部修士課程入学。現地で2年間、日本大手商社のダッカ事務所にて研修生を勤めながら夜間の大学院に通う。2年後帰国し株式会社マザーハウスを設立。

構成=吉田彩乃 インタビュアー=谷本有香 写真=藤井さおり

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