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2016.12.26 11:00

大麻業界、2016年に10億ドル超を調達 カナダ市場に急拡大の可能性も

Eskymaks / shutterstock

大麻関連企業向けの財務・戦略コンサルティング会社、米ヴィリディアン・キャピタル・アドバイザースによると、大麻製品を扱う各社が2016年に調達した資金の総額は10億ドル(約1,170億円)を上回った。

同社のスコット・グレイパー社長は、関連企業が資金の大半を調達しているのは米国だが、その他の国でも投資は行われていると指摘。将来の米国市場の動向をみる上では、カナダの大麻市場の動向が重要な指標になり得ると話している。

カナダはすでに医療用大麻の使用を合法化しているが、その後の動きは鈍かった。ただ、ジャスティン・トルドー首相は就任後、医療目的での使用に向けた準備を積極的に推進しているほか、嗜好用についても政権が取り組むべき重要な課題に掲げている。

バイオ製薬と不動産がけん引役

2016年に特に大規模な取引を実現したのは、英バイオ医薬品のGWファーマシューティカルズと米イノベーティブ・インダストリアル・プロパティーズ(IIPR)の2社だ。ロンドン市場に上場するGWファーマシューティカルズはナスダックにも上場し、約2億5,000万ドルを調達した。また、医療大麻関連施設の不動産投資信託(REIT)を手がけるIIPRは、関連企業として初めてニューヨーク市場に上場した。

バイオ製薬と不動産業界は、2017年も大麻産業の主なけん引役になると見込まれている。米国で仮に嗜好用大麻の使用を容認する流れに歯止めがかかったとしても、医療用に関する方針が変わることはないとの見方が大勢を占めていることから、バイオ製薬関連への投資に対するリスクはそれほど高くはないと考えられる。

一方、不動産は有形資産であり、合法化の動きに逆行がみられたとしても、大きな打撃を受けることがない。例えば大麻や関連製品の生産に使用されていた建物も、屋内農業用の施設など別の用途に転換することが可能だ。

さらに、大麻業界には小規模の投資会社やベンチャー・キャピタルをはじめとする機関投資家らが投資を増やすとの期待もある。芝生・ガーデン製品の販売を手掛けるスコッツ・ミラクルグローによれば、大麻産業はすでに合法化に関わる転換点を超えており、今後は2016年を上回る投資が見込めるはずだという。

米新政権を警戒しつつも楽観

ドナルド・トランプ次期米大統領が州権重視の姿勢を取るのか、あるいは大麻合法化に反対する保守派に歩調を合わせるのかが不透明な中で、米新政権は大麻業界への投資におけるリスク要因ともみられている。さらに、トランプは司法長官に大麻反対派のジェフ・セッションズを指名した。

だが、グレイパーによれば、投資家らはそれほど心配していないもようだ。セッションズの指名が明らかになって以降も、業界では取引や投資の状況に変化は見られないという。

編集=上田裕資

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