エアビーアンドビーは12月初め、北京に現地法人「エアビーアンドビー・インターネット・北京」を設立した。同社は10月に重慶市、広州市、深セン市政府と覚書を交わし、中国観光研究院とも提携している。
中国進出をよりスムーズに進めるため、同社は現地法人のCEOを探す際、リンクトインの中国進出を支援したセコイア・チャイナと寛帯資本(チャイナブロードバンド・キャピタルパートナーズ)の手も借りた。さらに、中国の2大ネット企業とも手を組み、アリババの決済アプリ、アリペイでの支払いや、テンセントのソーシャルアプリWeChatからサービス利用が可能になった。
エアビーアンドビーは中国の賃貸サイト第2位で、2015年7月時点で企業価値3億ドル(約353億円)の“小豚(Xiaozhu)”の買収にも動いている。広報担当のニック・パパスによると同社は2017年、中国での投資を倍増させる計画だ。2016年末までに物件数を7万5,000件から10万件に拡大する目標を立てている。
同社に投資するGGV Capitalのマネージングディレクター、グレン・ソロモンは「エアビーアンドビーは中国市場の特異性を理解しており、米国と同じやり方ではだめだと知っている。グーグルやeBay、ヤフーと同じ失敗はしないだろう」と語った。
中国で民泊は普及しない?
しかし、そうした努力が中国での成功を保証するわけではない。アナリストたちは、中国ではオンラインの個人宅宿泊仲介サービスが受け入れられにくい現状を指摘する。
米国のホームシェア市場は260億ドル(約3兆円)なのに対し、北京の調査会社iResearchは、中国市場は2017年末で約15億ドル(約1,760億円)だと試算する。また、ホームシェア市場の成長率はこの数年で鈍化しており、2015年は122%だったのが今年は59%に、来年は52%に縮小する見込みという。
ある大学研究者は「エアビーアンドビーが米国で人気が出た最大の理由は、価格の手ごろさだったが、中国のホテル代は非常に安い。サンフランシスコと成都では状況が違う」と述べた。
良質な物件が少ないことも、問題の一つだ。中国のベンチャーキャピタル関係者によると、中国の物件は他の国に比べ、滞在する魅力が薄いという。
これに対しGGVのソロモンは「エアビーアンドビーは中国市場を長期的な視点で見ている。中国の海外旅行者はエアビーアンドビーを海外で体験しており、それに満足したら自国の物件にも目を向けるだろう」と語った。