インドのトイレ事情を変える起業家 1.5兆円市場への挑戦

(Photo by Pradeep Gaur/Mint via Getty Images)

世界で最も衛生状態が劣悪な国の一つにあげられるインドで、トイレの変革にチャレンジする企業が現れた。ソーシャルベンチャーのSvadha社だ。

世界銀行で国際人権法の専門家として働いていたCEOのガリマ・サハイによると、Svadhaは現地の起業家たちを通じ、地域の衛生環境を改善する取り組みを進めている。サハイは、「インドでは古くからのカースト制度が一因となり、自宅にトイレを持つのはぜいたくなことだと考えられてきた」と語る。

Svadhaはトイレは金持ちのためにだけあるのではないと、地方の人々に証明しようとしている。インドの田舎の衛生市場は約250億ドル(2兆8,366億円)で、そのうち140億ドル(1兆5,885億円)近くがトイレ需要とされている。

Svadhaは今年、衛生問題の解決を目指す国際団体Toilet Board Coalitionの最初のアクセラレーターに選定された。この団体は衛生問題の解決を支援しており「衛生分野のビジネスモデルのイノベーションが、現地に特化した方法で具体化されることが大事だ。現状のやり方ではコストがかかり過ぎる」と担当者は述べている。

Svadhaは地方の消費者に、トイレ付きの建物と汚水の管理設備をまとめて提供する。商品は販売後の対応と修理を学んだ地元の販売者を通じて売られ、価格は27ドルから230ドルとなっている。

インドの地方部では屋外で排泄するのが日常化している。また、インドの男尊女卑の風土が、女性用のトイレ普及を阻んでいる。

社会背景は州によって違うが、インドには公衆トイレの深刻な不足という共通の課題がある。Svadhaは各家庭へのトイレ導入を目指しており、それが無料のサービスではなく、ビジネスになることも願っている。

「私たちは2017年末までに営業収支が黒字になることを目指します。そして2018年にはさらに規模を拡大しようとしています」とサハイは述べた。

編集=上田裕資

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