ブランド戦略を練るにあたっては、国や文化をまたいでどう認知されるかを考える必要がある。ペプシが中国に進出した際、“ペプシはあなたを蘇らせる”というスローガンが、中国語で“ペプシはあなたを墓から蘇らせる”と誤訳されてしまった。
中国進出に成功した米ブランドとして挙げられるアップルやナイキ、スターバックス、KFCはスタート時点でグローバルブランドとして優位性を持っていた。一方、飛躍的な経済成長にも関わらず、中国ブランドは国際マーケットでそれに見合う価値を生み出せていない。Millward Brownによると、中国の最も価値があるブランドトップ5はテンセント、チャイナモバイル(中国移動)、アリババ、中国工商銀行、そしてバイドゥ(百度)だった。テックに詳しい外国人にはよく知られた企業だが、その他の人々の認知度は低い。
スウェーデンにはイケア、ドイツにはメルセデスベンツ、日本にはユニクロがあるのに中国のブランドはなぜグローバル化しないのだろうか。中国には巨大なマーケットがあるから、海外を開拓する強いモチベーションが沸かないという見方もある。
中国政府は国産品の消費拡大に力を入れている。中国製品の品質は飛躍的に向上し、消費者の信頼も高まっている。ボストン・コンサルティング・グループのレポートによると、中国ブランドの家庭用品を好む中国人消費者の比率は2007年から9%上昇し、46%になった。中国の国力が増すにつれて、中国消費者の愛国志向も強まり、自国品の消費につながっている。スマートフォンマーケットでは、アップルがシェアを落とす一方、ファーウェイ、Vivo、そしてOppoといった中国メーカーがシェアを広げている。