ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ福岡 「海のF1レース」観戦記!

ACEA 2016/Photo Ricardo Pinto


アメリカズカップとは

世界最古の国際スポーツトロフィー「アメリカズカップ」をかけて、トップセーラーたちが最先端のレース艇で闘う、一対一のヨットレースのこと。

1851年、英国ロンドンで開催された第1回万国博覧会を記念して、名門ヨットクラブのロイヤル・ヨット・スコードロンが「ワイト島一周レース」を主催したのが始まりで、そこで優勝したアメリカ号に敬意を表し「The America’s Cup」と呼ばれるようになる。その際「国際的かつ友好的な挑戦を恒久的に受ける」という贈与証書とともに、ニューヨークのヨットクラブに寄贈されたことが歴史ある大会の起源となった。

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アメリカズカップはクルーの技量だけでなく、出場国の工業技術など、海事技術の総合力を競ってきたという背景がある。そんな国家ともいえるものを背負った各艇が争う優勝杯は、英国王室御用達のギャラード社製の純銀の水差し。カップには優勝艇の名が刻まれ、アメリカは第1~24回大会までの132年間にわたりカップを防衛し続けた。

参加チーム
「オールド・マグ」(アメリカズカップの愛称)をかけて戦うのは、6チーム。一企業としてだけではなく、国家規模での戦いとなるレースに参加するのは、クルーだけでなく、ヨットデザイナー、ボートビルダー、エンジニアなど。「ルイ・ヴィトン アメリカズカップ・ワールドシリーズ」から「アメリカズカップ」までの2年間は、チームの結束力が求められる。

ソフトバンク・チーム・ジャパン
関西ヨットクラブ所属。15年ぶりに日本から挑戦を表明した新生チーム。ニュージーランドや英国出身のトップセーラーが参加。早福和彦が総監督を務める。

エミレーツ・チーム・ニュージーランド
ロイヤル・ニュージーランド・ヨットスコードロン所属。1987年から挑戦艇を派遣し続け、95年の第25回大会で悲願の初勝利を成し遂げた。

オラクル・チーム・USA
ゴールデンゲート・ヨットクラブ所属。オラクル社のラリー・エリソンが私財を投じて立ち上げたチーム。2010年の第33回大会から防衛を続ける最強チーム。

グルパマ・チーム・フランス
ヨットクラブ・ド・フランス所属。フランスセーリング界の英雄、フランク・カマが率いる。チーム後援者には、元F1ドライバーのアラン・プロストも名を連ねる。

ランドローバー・BAR
ロイヤル・ヨットスコードロン所属。五輪セーリング競技で4大会連続金メダルを獲得した英国の英雄、サー・ベン・エインズリーが代表を務める。2014年創設。

アルテミス・レーシング
ロイヤル・スウィーディッシュ・ヨットクラブ所属。2007年に実業家のトルベルン・テルンクヴィストが結成。チーム名はギリシャ神話に登場する狩猟の女神から。

文=石原紀彦

この記事は 「Forbes JAPAN No.31 2017年2月号(2016/12/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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