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だがシュルツCEOは、スタバでの数十年のキャリアを通じ、一般のコーヒーに対する概念のみならず、人々の交流方法までをも変えた。「スターバックスは米国人に対し、コーヒーは家庭向けブランドの『フォルジャーズ』よりも野心的になり得るということを示したのだ」と、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は評している。

シュルツはこの点において、同じく野心的な挑戦を続けてきたカクテルバーの軌跡をたどっている。かつてバーテンダーと呼ばれていた職業は今、ミクソロジストと呼ばれ、スピリッツやハーブ類、プロのシェフが使うような材料を使い、20ドルもする高級カクテルを生み出している。

「スターバックス・リザーブ」ブランドの店舗を各地に展開するにあたるコストは、サイフォン式コーヒーが1杯12ドルという価格設定を反映したものになる見込みだ。一部アナリストは、スタバが今後、新店舗展開に年間1億ドル(約117億円)を投じると予想している。これをコーヒーの売り上げだけでカバーするのは難しいだろう。(既存店の売り上げで埋め合わせるのであれば別だが)

だがさらに大きな課題は、既存店と新規ブランドの差別化かもしれない。既存のスタバ店舗のメニューは現状でも十分に洗練されており、かつ複雑だ。クレディ・スイスのアナリスト、ジェイソン・ウェストはWSJ紙に対し、「さらに一段階上のプレミアム化とイノベーションを進め、エスプレッソバーを加えるのは、より大きなチャレンジとなるだろう」と語っている。

シュルツCEOは、ロースタリーでの店内体験は、オンラインショッピングに多くの時間を費やす消費者にも外出を促すものになると語っていたが、これについては疑問を抱かざるを得ない。シュルツは最近、スタバ店舗を訪れたことがあるのだろうか。筆者が推定するに、店内ではおそらく9割の客がパソコンやスマホの画面に見入っている。

シュルツはおそらく、一般的なスタバ利用者をさらに洗練されたコーヒー体験へといざなうことも狙っているのだろう。この体験には、焙煎の全工程を眺めたり、豊富に用意されたコーヒー関連書籍に目を通したり、スタバ厳選の豆(品質基準を満たす豆は全体の1%未満)を使った1杯を楽しんだりすることが含まれている。

翻訳・編集=遠藤宗生

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