「theSkimm」は、NBCニュースに勤務していた女性二人組、カーリー・ゼイキンとダニエル・ワイスバーグが2012年に始めた日刊のメールマガジン。タイトル通り(skim=ザッと読む)、国際情勢から雑学まで、世の中の動きをウィットに富んだ文章でわかりやすくコンパクトにまとめた内容が評判を呼び、多忙なミレニアル世代の女性を中心に現在400万人の購読者を抱える。
同社はメール配信という極めてローテクな事業でありながら、2014年以降、ベンチャーキャピタルから780万ドル(約7億8,400万円)以上を資金調達してきた。メールマガジン自体は無料で、この2年ほどはおすすめの本、ワイン、デジタル機器などの紹介によるアフィリエイト料から収入を得ていたが、この冬、ホリデーシーズンに向けたギフトボックスの発売を開始した。
経済的に余裕のあるミレニアル世代を対象としたギフトボックスは、ワインの定期購入サービス「Wine Awesomeness」とのコラボレーションで、価格は49ドル〜99ドル。ワインの他、本、オリジナルのクッキーの抜き型、カレンダーアプリ「Skimm Ahead」などがセットに含まれる(12月18日時点で完売)。ギフトボックスの発売にあたり、ゼイキンとワイスバーグは「theSkimm」のブログに以下の文章を寄せた。
有料アプリのDL数はNYTを超えた
「この2年間、私たちはtheSkimmの読者が何を求めているのかを探ってきました。その一つは本でした。それも大量の。私たちはアマゾンに最も多くのユーザーを向かわせる媒体の一つとなり、出版社によれば、その影響力は『トゥデイ・ショー』や『ニューヨーク・タイムズ』に引けを取らないそうです。また、スキマーズ(訳注:読者のこと)がワインを好むことも判明しました。さらにデジタル機器や小物に関しても、私たちの選択を信頼してもらえていることがわかりました。そこでついに今年、私たちは『やってみるか』と思い立ったのです」
昨年のフォーブス「30アンダー30」にランクインした共同CEOのゼイキンとワイスバーグによると、「theSkimm」の読者は、同社が提供する商品やサービスにお金を支払うことを厭わない層だという。その証拠に、今年4月にリリースしたカレンダーアプリの「Skimm Ahead」は月額2.99ドルと有料ながら、iTunesアプリストアのニュースカテゴリーでは常に上位3位以内に入る人気を誇っている。「『ニューヨーク・タイムズ』や『ウォール・ストリート・ジャーナル』などを上回るダウンロード数を記録していることを嬉しく思います。大統領選の直前には1位になりました」と同社のスポークスパーソンは話す。
「theSkimm」の勢いは増す一方だ。今年の大統領選の前には候補者や選挙の仕組みに関する情報を集めた特設ホームページを作り、若者の投票を促すNPO「Rock the Vote」と組んで11万1,000人を有権者登録に導いた。