ビジネス

2016.12.27

好奇心に火をつける「変な宿題」

illustration by Kenji Oguro


名付けて「変な宿題」プロジェクト。学んでほしいことをストレートに出すのではなく、「変」な問題を1つかませ、いつの間にか体験して学んでいる。そこがポイントです。
 
いくつかご紹介しましょう。「プロジェクト初体験」は上海の復旦大学で行ったものです。1週間以内に人生で初めてのことをして、微博(中国版twitter)にアップしてください、というのが宿題。彼女と服を全く入れ替えて写真を撮ってきた男子、生まれて初めて男子トイレに入った女子、24時間喋らない日を過ごした生徒など、53人に初体験が生まれました。

ちなみに学んでほしかったテーマは「GAPの創造」。いい表現は人の日常に非日常を生む。まずは自分の日常で非日常を生み出す練習をしてもらったわけです。

「自己紹介してください。ただし10文字以内で」は、東京大学などの授業の冒頭で行った問題です。3分間いい感じの音楽を流し、曲が終わったら終了、発表してもらいます。

この問題で、広告づくりのエッセンスを体験できます。CMは予算とスケジュールの中で企業が伝えたいことを伝えたい人に伝えるもの。この問題では、3分0円でクラスの人に10文字の言葉で伝える体験をしたわけです。同じですね。

その他、「校則の最後に1行付け足す権利をあげます。何を付け加えますか?」@有田工業高校、「食後感想文コンクール」@立命館大学ほか、「だれかひとりを喜ばせてきてください」@電通テック新入社員研修、ほか、いままで25カ所以上で行ってきました。いつも予想を超える答えが量産される熱い授業になり、終わりに涙を流す回もあります。
 
答えのない時代に、未来を切り開く人材を育てるために、一方通行でなく、能動的に学ぶ「アクティブラーニング」が教育界はもちろんビジネス界でも注目を集めています。アクティブ=能動的になれるかどうか、それは「好奇心」に着火できるかどうかだと僕は考えます。

「Creativityとビジネスの成功のリンクが強まってきている」とは先日のForbes JAPAN’S CEO OF THE YEAR 2016でのトム・ケリー氏の発言

Creativityの元も、好奇心や遊び心です。もし好奇心ランキングなるものがあったら、いま日本は世界何位でしょう?効率重視で余裕のない現代ですが、遊び心や好奇心を大切にした国や企業が成長しているように感じませんか?変な宿題で、好奇心増幅に役に立てたら。やり方をお教えしますので、ぜひ変な問いをいっぱい一緒に立てましょう。



電通総研Bチーム◎電通内でひっそりと活動を始めていたクリエイティブシンクタンク。「好奇心ファースト」を合言葉に、社内外の特任リサーチャー40人がそれぞれの得意分野を1人1ジャンル常にリサーチ。現在50のプロジェクトを支援している。平均年齢約35歳。

倉成英俊◎電通総研Bチームリーダー。自称21世紀のブラブラ社員。気の合う人々と新しい何かを生むことをミッションに、公/私/大/小/官/民 関係なく活動中。特に各社の新規事業部のアイデア開発を支援しながら、今年は故郷の有田焼400周年を大応援中。

倉成英俊=文

この記事は 「Forbes JAPAN No.29 2016年12月号(2016/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

連載

電通Bチームの NEW CONCEPT採集

ForbesBrandVoice

人気記事