村づくりという100年越しの夢/池の平ホテル・矢島義拡社長

矢島義拡社長(写真=yOU/河崎夕子)


「観光」の語源は、孔子が書いた『易経(えききょう)』の「国の光を観る、もって王に賓(ひん)たるに利(よろ)し」という一節に由来します。つまり、景色や仏閣や史跡だけではなく、土地の文化や生活を含めた魅力を感じてもらうこと。

そのために社員のクリエイティビティは欠かせません。弊社の場合は、費用や人材に限りがあることが、アイデア創出の鍵になっています。祖父は「苦労して知恵で勝負せい」とよく言っていましたが、苦労を楽しむ祖父のフロンティア精神が社員の隅々にまで浸透しているのは、非常にありがたいです。
 
私自身が影響を受けた言葉があるとしたら、「自分の機嫌は自分で取る」です。東大のラクロス部在籍時にメンタルコーチを依頼した、『スラムダンク勝利学』の著者でもあるスポーツドクター辻秀一先生から教わりました。実際メンタルが大きく寄与して、全日本学生選手権で日本一となった実感があるので、煮詰まった時はこの言葉に立ち戻るように心がけています。



矢島義拡の大切なものたち

【健康管理】
リゾートのなかに自宅があるので、仕事場までは徒歩3分。運動不足になりがちなので、朝のランニングを日々の習慣にしようとしています。朝一番の500mlの水分補給も必須です。

【御柱祭の法被(はっぴ)】
諏訪地方には「御柱祭」という寅と申の年のみ行われる祭りがあります。「地方創生」というのは口でいうほど簡単ではないのですが、祭りにはそれを担う力もあると最近思うようになりました。法被は農作業にも耐えられる頑丈な糸で織られてた重厚なもので、代々受け継ぎます。

【父から譲り受けた本】
1冊は祖父を描いたノンフィクション『ニューレジャーへの挑戦』。もう1冊が中小企業経営者のバイブルの一つ『一倉定の経営心得』。迷うときに原点に立ち返る2冊です。

矢島義拡(やじま・よしひろ)◎1983年、長野県生まれ。中学より鹿児島県のラ・サール学園に入学。2006年、東京大学法学部卒業後、リクルートを経て、09年、池の平ホテルに入社。経営企画室長、副社長を経て、11年より現職。

構成=堀香織

この記事は 「Forbes JAPAN No.29 2016年12月号(2016/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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