赤信号無視の動画が公開
カンファレンスコールでレバンドウスキーはテスラのオートパイロットシステムを繰り返し引き合いに出し、「テスラ車のオーナーが許可を得ずに公道を走行できるのに、ウーバーが似た技術をテストするのにどうして許可が必要なのか」と疑問を呈した。テスラは完全自動運転車を競合他社に先駆けて開発することを目指しているが、現段階で提供しているオートパイロット技術は「半自動運転」で、ドライバーが長時間ハンドルから手を放すと自動運転システムが停止する仕様になっている。メルセデスベンツやBMW、インフィニティ、アキュラなど、多くの自動車メーカーも半自動運転技術を採用しており、いずれの場合も人間のドライバーのエンゲージメントを必要としている。また、テスラは完全自動運転車のテストを行うための許可をDMVから取得している。テスラにレバンドウスキーの発言に対するコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。
ウーバーと規制当局との論争が発生したのは、同社がボルボ製の「XC90 SUV」に最新のセンサーやソフトウェアを搭載して、サンフランシスコで公道テストを開始した直後のことだ。ボルボはこれまでウーバーとの取組みを大々的に宣伝していたが、今回の騒動については沈黙を保っている。
米国の規制当局は、9月に自動運転車の公道実験のためのガイドラインを発表している。カリフォルニア州では、グーグルが2009年に公道テストを開始して以降、最も多くの企業がテストを行っている。ウーバーは、自動運転車技術でリーダーになり、ゆくゆくは全車両をロボットカーに置き換えることを目指している。
サンフランシスコの日刊紙「San Francisco Examiner」は、ウーバーのテスト車両が赤信号を無視して走行する動画をウェブサイト上で公開した。ウーバーは同紙に対し、「本件については現在調査を行っています。当社にとっては安全が最優先事項です」と述べている。
テスト車両が自動運転車でないとウーバーが主張し続ける限り、事態の悪化は避けられないだろう。しかし、前の座席に人間が2名座っていることを考えると、自動運転車という表現には無理がある。現段階では、ウーバーが司法当局やDMVの警告に従う様子はなく、両者の争いは激しさを増すことが予想される。