ロジック社の設立は1993年。かつては「Digital Telemedia Inc.」という名称だったが、2002年に現在の社名に変更した。「AWSがスタートした当初、業界の多くの企業は新参者のアマゾンになど負けないと考えていた」とロジック社のケネス・ジーグラーCEOは話す。同社は当時、「医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令(HIPAA)」の対象となる事業体に特化したプライベートクラウドサービスを提供し、毎年数億ドルの収益を上げていたが、成長率は15-20%程度で目標を大きく下回っていた。
ジーグラーによると、CEOに就任した2012年頃からAWSに顧客を奪われているのが目に見えて明らかになったという。ロジック社は「高品質の管理されたクラウドサービス」をアピールしたが、顧客の流出は止まらなかった。「我々の方が優れている機能があったとしても、6週間後にはAWSに追いつかれていた」とジーグラーは話す。
アマゾンに対抗から協業に方向転換
危機感を感じた彼は、アマゾンのパートナーになる道を選択し、顧客企業がAWSに移行する支援と、クラウドの利用状況を管理するためのソフトウェアの提供を開始した。現在は、Veritas、Mass Mutual、PartyLite、Major League Soccer、Orion Health Groupなどが同社のプラットフォームを利用している。
この思い切った戦略転換は見事に成功し、事業規模は4倍に拡大した。ロジック社の急成長は大手企業の目に留まり、10社以上から買収提案があったという。ロジック社は、これまでにプライベートエクイティファンドから460万ドルの出資を受けたほかは、1,250万ドルを負債で調達しているだけで、株式の大半は創業者のカーター・バーデンや経営陣が保有していた。今回の資金調達では既存株主が保有株の一部を売却し、大きなリターンを得た。
ジーグラーによると、Pamplonaを含めて15社から出資の申し入れがあったが、最終的にPamplonaを選んだのは、同社が現経営陣の方針を支持し、成長を後押しすることを約束してくれたからだという。
ジーグラーは2001年にロジック社に入社し、最初は新入社員向けの業務からスタートした。「今回の資金調達は、私にとってこの15年間の集大成だ。もはやロジック社でやり残した仕事はない」とジーグラーは話すが、医療情報交換サービス最大手のCal Indexと最近契約を締結したばかりで、彼にはまだまだ大役が残っている。
「アマゾンと組んでいなければ、会社の存続は危うかった。AWSのプレミア・パートナーとしての知名度を得た今、社名を再び変えることはできない」とジーグラーは冗談を飛ばす。