今ではアドベンチャー・ツーリズムに関するレビューや記事の数も100近くに達し、同サイトはバックパッカーにとって“訪れるべきサイト”となった。タイのチェンマイの拠点にはフルタイムのスタッフ4人がいる。
ロジャースはチェンマイに拠点を移した理由について、経費の安さとネット環境の良さを挙げる。毎月の生活費は1人当たり600ドル(約7万円)だが、贅沢な食事をしなければ月300ドル(約3万5,000円)でも十分に生活できる。
彼らがビジネスにおいて最も重視しているのは、正直さだ。だから、レビューに対する支払いは受け取らない。通常レビュアーにはアクティビティーが無料で提供されるが、それ以上の支払いは決して受け取らないという。時にはスポンサー付きの記事を書くこともあるが、その際は必ず、スポンサー付きであることを明記する。
この高潔さが彼らの事業の成長に役立ったわけだが、裏を返せば、収益化までの道はほかの旅行ブロガーよりも困難なものだったことを意味する。そのため2人は収益源についてもクリエイティブにならざるを得なかった。
1つのアドベンチャーに関するレビューが500件近くに達すると、企業側にアプローチをかけ、別のキャンペーンでの協力あるいはオンラインプレゼンス(ウェブサイトなど)の開設を持ちかける。レビューは彼らの名刺代わりなのだ。
「自分の旅行についての話をして成功できる時代はもう終わった」とロジャースは言う。「みんな旅行ビジネスを築くのは簡単だと思って、ニッチな部分に十分に目を向けていない」