今年の米大統領選では、ロシアのハッカーが共和党のドナルド・トランプを当選させるために民主党幹部の電子メールを流出させた疑いが浮上。ロシア政府とトランプ陣営はこの疑惑を否定している。親プーチン派とされる石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン会長兼CEOが次期米国務長官に指名されたことからも、プーチン大統領の影響力は向こう数年間にわたりほぼ野放しになる可能性が出ている。
今年2位に入ったのは、米大統領選でヒラリー・クリントンに対し予想外の勝利を収めたドナルド・トランプ。まるでスキャンダルに対する免疫があるかのようなトランプは、米上下両院を味方につけ、個人資産総額は数十億ドルに上る。来月には、総資産が10億ドルを超える初の米大統領となる予定だ。
3位は、欧州連合(EU)の大黒柱で、ランキング最上位の女性となったドイツのアンゲラ・メルケル首相。世界各国でポピュリズム(大衆迎合主義)や右派の政治運動が台頭する中、メルケル首相は西側リベラル世界で最後の砦とみなされており、英国のEU離脱に直面する欧州の結束維持や、欧州で影響力を増すロシアへの対抗、ここ数年で自国に流入した100万人以上の移民の管理といった課題に取り組んできた。来年の総選挙では4期目続投を目指す意向だ。
「世界で最も影響力のある人物」ランキングでは、世界各国の候補数百人を、影響力を及ぼす人数、経済的資源、分野の数、そして影響力を実際に行使しているか否かという4つの基準で順位付けし、その平均値が高い順に、世界人口約74億人の1億分の1に当たる74人を選出した。
例えば、5位のフランシスコ法王は、ローマ・カトリック教会の信者10億人以上の精神的リーダーとなっている。経済的資源については、国家首脳の場合はその国のGDP、CEOの場合は企業の時価総額と収益、また7位に入ったビル・ゲイツといった大富豪の場合は個人資産額を考慮に入れた。
21位のイーロン・マスクは、テスラ・モーターズとスペースXを通じて自動車と航空宇宙の両業界に多大な影響を与えただけでなく、大富豪として、テクノロジー業界で広く尊敬を集める先見者として影響力を行使している。43位に入った北朝鮮の独裁者、金正恩は、同国の国民2,500万人の生活に対しほぼ絶対的な影響力を行使しており、反抗した者を次々と処刑することでも知られている。
日本からは計4人がランク入りを果たした。最上位は、世界最大の自動車メーカー、トヨタ自動車の豊田章男社長の29位。残る3人は、安倍晋三首相(37位)、日本銀行の黒田東彦総裁(47位)、ソフトバンクグループの孫正義社長(53位)だ。