現在31歳のワイスは「VOGUE」誌のアシスタントだった2010年に、個人で美容情報サイト「Into The Gloss」を開設。同サイトはファッション・美容業界の著名人に愛用コスメやメイクのコツを訊ねるインタビューコーナーなどが読者に支持され、瞬く間に有名サイトに成長した。
グロシエは2014年、その「Into The Gloss」から生まれたブランドだ。美容液やブロウジェル(眉ティント)をはじめとする商品の売りは、読者の美容ニーズをもとに開発されていることに加え、どの角度から写真を撮っても絵になるなど“インスタ映え”すること。
大金を積んでセレブリティを広告塔にする代わりに、多数のフォロワーを持つファンにSNS上でブランド知名度を高めてもらう狙いが成功し、いまやユーザーレビューで高評価のアイテムは品切れが続出している。
2013年のシードラウンド、2014のシリーズAに続く今回のシリーズBラウンドは、サンフランシスコを拠点とするVC、IVP主導によるもの。2,400万ドルという額は、女性経営者によるスタートアップへの出資額としては破格と言える。また、今回の資金調達により、グロシエが集めた総額は3,500ドル(約40億円)を超えた。
ワイスは「Into The Gloss」に寄せた文章で、読者に対して資金調達の裏側を次のように説明した。
「今回のシリーズBによる資金調達は、大多数からクレイジーだと言われ続けてきたアイデアに対して赤の他人から出資を募る、この3年間で3度目の機会でした。ただし、今回が過去の2回と違っていたのは、投資家たちに『ネットコミュニティ発の美容ブランド』というアイデアはそれほどクレイジーではないと思ってもらえたことです。あなたたちがそのことを証明してくれました」
著名女性投資家も応援
ワイスはまた、グロシエの成長に欠かせない人物として、シードラウンドに出資したフォアランナー・ベンチャーズのキルスティン・グリーンの名前を挙げた。グリーンは数少ない著名女性投資家の一人で、メガネ販売の「ワービー・パーカー」やカミソリの配送サービス「ダラー・シェイブ・クラブ」など話題のスタートアップへの投資で知られる。
「ノーと言わなかったのは彼女だけでした。商品はもちろん、グロシエというブランド名すら存在していなかった時のことです。私は、美容業界は女性の賢さや女性のコミュニケーションの場にもっと目を向けるべきだと思っていました」
新たな資金は実店舗開店や海外展開に加え、これまで同社が注力してきた技術革新にも投入される予定だ。その理由について、ワイスは「全ての女性は、美容に関する知識や意見、そして製品やメイクの習慣を通じて他者とつながる力を持つべきだからです」と述べている。
ワイスがグロシエ創業の経緯を語ったインタビューは、フォーブスの女性起業家をゲストに迎えるポッドキャスト番組「Million$」にて配信中。