職場におけるジェンダー平等への道、解決に走る前に「問題の認識」を

演説をするエマ・ワトソン( J. Countess/Getty Images)

2年前、国連のジェンダーの平等に対する取り組み「HeforShe(ヒーフォーシー)」キャンペーンが立ち上がり、女優のエマ・ワトソンが演説を行った際、100万人以上の男性がこの運動に賛同した。

参加を表明した男性たちは確かに見識があるが、職場にいる男性たちと何が違うのだろうか。多くの男性は、職場にジェンダーの不公平があることを認識しているのだろうか-。

女性の労働環境の改善を目指すサイト、フェアリーゴッドボスは先日、コンサルティング会社アルテミス・コネクションと共同で、職場における男性のジェンダー意識に関する調査を実施した。

およそ300人の男性労働者を対象に綿密な調査やインタビューを行い、ジェンダーの平等や多様性についての見解を調査。その結果、(これまでほかのデータでも示されていたとおり)多くの男性は一般に「職場でジェンダーが問題になっているとは考えていない」ということがわかった。

職場にジェンダーバイアスがあると考えていたのは、回答者の33%で、自分の働く職場で女性が不公平な扱いを受けていると考えている男性はさらに少なく、わずか10%だった。

調査に回答した男性たちが、平均的な企業よりも平等主義な雇用主の下で働いていた可能性もある。だが現実と彼らの受け止め方に食い違いがある理由は、認知的不協和(自分の中に矛盾する認知を抱えた時に覚える不快感)や、自分にそれほど近いところに問題がある可能性を認めたくない気持ちかもしれない。

回答者の80%以上は、職場で女性が直面している問題を解決することはそれなりに重要だと回答した。だがここで疑問が生じる。具体的に問題が何かということについての合意がないのに、それを解決することなど本当にできるのだろうか。

自分の職場にジェンダーバイアスがあると考えている男性がこれほどに少ないとなると、幹部クラスの女性が少ない理由も、女性の方にも問題があるか女性が自らそれを選択していると思われているのかもしれない。

しかし、ここで重要になるのは、多くの女性の職場体験が男性のそれとは(悪い意味で)異なるということだ。データの数字がそれを裏付けている。
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編集=森 美歩

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