定期購入型の販売モデル自体は、目新しいものではない。米コロムビアハウスがレコードのメールオーダーを受け付け始めたのは、50年以上前のことだ。一方、化粧品サンプルを定期的に届けるバーチボックス(Birchbox)が創業したのは、約6年前。定期購入型の販売モデルを近代化し、オンライン化した。そして、同社のこのビジネスをきっかけに、2,000以上の事業者が同様のサービスを立ち上げたのだ。
だが、そのバーチボックスなど初期に市場に参入した各社をはじめ、このところ関連ビジネスの人気に陰りが見え始めている。契約者が減少し、ベンチャーキャピタルからの資金調達額が業界全体で90%落ち込んだほか、カミソリと替え刃を定期的に届ける「ダラー・シェイブ・クラブ」は、消費財大手ユニリーバに10億ドル(約1,150億円)で買収された。
こうしたことは、定期購入型の販売モデルのブームが終わりに近づいていることを示唆している。なぜ、こうした状況に陥ってしまったのだろうか?
小売業界の注目の的となったこれら各社も、流行の先端を行くようなそのおしゃれな外箱の一方で、同業界の原則と無縁ではいられなかったのだ。その原則とは、流行とファッション性(革新性、カスタマイズできること、満たされていなかった需要に対応すること)を通じて成功を収めた企業が確立したものだ。小売業界で生き残ることができるのは、以下に示すその3つの原則に従い、事業を展開する者だけなのだ。
1. 革新の継続
定期購入型の通信販売で成功を収めるには、小売業者は常に革新的であり、顧客が自分で見つけることがなさそうな、興味深く便利な商品を取りそろえなくてはならない。
毎回届けるボックスに入れるのは、それほど高価なものではない日用品が大半だ。利用者は送られてくる商品に飽きてしまいやすい。そうした中で生き残るには、利用者が「便利だ」「ワクワクする」と思うような、新しくて革新的な商品をそろえる必要がある。