ビジネス

2016.12.13

英企業幹部、85%が新興国で贈賄の経験あり 「慣習」への迎合か「違反」か

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こうした事例が示すのは、汚職が単に発展途上国や新興国の問題ではないということだ。つまり、欧米から進出する企業が進んで賄賂を渡すことで、汚職という慣習が助長されているのだ。また、興味深いことに最も汚職が少ない国の企業が、外国では最も贈賄を行う可能性が高い傾向があるとの指摘もある。

国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルが2011年に行った汚職に関する調査では、調査対象の28か国・地域のうち、オランダとスイスの評価が最も低かった。これに対し、同組織が167か国・地域を対象に行う公的部門の腐敗度に関する認識を数値化した「腐敗認識指数(CPI)」によれば、オランダは5位、スイスは7位と上位に入る。両国の企業は自国では品行方正である一方、外国では素行が悪いと言えそうだ。米国はCPIでは16位、国際的な商取引での腐敗の程度を示す「賄賂供与指数(BPI)」ランキングでは10位だった。

欧米に本社を置く企業の贈賄行為は汚職のシステムを助長し、貧しい国々の発展を妨げている。企業幹部がヘンリービジネススクールの調査で明らかになったような態度を維持し続ければ、この問題は今後も続いていくだろう。そして、これは個々の企業にとっては、FCPAや英国の贈収賄防止法によって厳しく処罰される可能性があるということを意味している。

編集 = 木内涼子

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