「先日、アメリカ映画協会の会長と会談した際、ドナルド・トランプに何か言いたいことはあるかと尋ねられた。私はトランプにこう言ってくれと伝えた。私は米国に100億ドルを投資している。もし、彼が判断を誤れば2万人以上の米国人が職を失うだろうと」
さらに王は、今後の米国のハリウッド映画産業の発展は中国市場の成長にかかっていると述べた。
「中国の映画市場で儲けたいなら、もっと中国的なテイストを映画に加えるべきだ。現状では中国で上映される米国製の映画はまだ少ないが、今後は巨大な成長が見込める」
王の発言は米国議員らの中国の投資に対する監視の目をさらに厳しくさせそうだ。中国の対米投資は今年510億ドル(約5.9兆円)に及び、昨年の117億ドルから大きく上昇した。先月、米国議会の諮問機関「米中経済・安全保障検討委員会」は、中国の国営企業による米国企業の買収を禁止すべきだと政府に提案した。
増大する中国の“ソフトパワー”
王が所有するワンダ・グループは近年、米国のメデイアやエンターテイメント企業を盛んに買収している。2012年には米映画館チェーンAMCエンターテインメントを26億ドル(約2,970億円)で買収。今年1月にはハリウッドの映画制作会社レジェンダリー・エンターテインメントを35億ドル(約3,980億円)で買収した。さらに、今年11月にはゴールデングローブ賞授賞式などの番組を制作するディック・クラーク・プロダクションズを10億ドル(約1030億円)で買収することで合意した。
北京で行なわれたスピーチで王は中国の“ソフトパワー”の重要性にふれた。
「現在、グローバルに映画を配給可能な企業は6社しかない。今後、中国製の映画を世界に広めるために彼らに依存することは出来ない。中国のカルチャーの影響を世界にもたらすために、独自のチャネルを構築することが必要だ。我々はまた、世界的に認知されるブランドを生み出す必要がある」と王は述べた。