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2016.12.15 12:00

女性差別は「する側」の男性にも悪影響

Wayne0216 / shutterstock

米心理学会が発行する学術雑誌「ジャーナル・オブ・カウンセリング・サイコロジー」に、ある興味深い報告が発表された。

新たな調査で、“男性らしさ”が男性の健康や幸福感に強く関連することが認められたというのだ。男性による差別が女性に害を及ぼすことは考えるまでもなく明らかだが、それが男性にも関係があるというのは、憂慮すべき事実だ。

これはインディアナ大学ブルーミントン校の研究チームが、調査に参加した1万9,500人近い男性のデータについてメタ分析を実施した結果だ。男性参加者たちは、性差別のさまざまな指標を測定する質問に回答した。

研究チームが特に興味を抱いたのは、伝統的な“男らしさ”を示す特徴だ。勝利、感情のコントロール、冒険心、暴力、支配、プレイボーイ(浮気)、自己依存、仕事の重要性、女性に対する支配、同性愛蔑視とステータスの追求などが挙げられる。

その結果、それらの“男らしさ”に適合する人ほど心の健康状態が悪い傾向にあり、また精神的(心理的)な助けを求めない傾向にあることが分かった。そのうちの3つ――自己依存、浮気行動、女性に対する支配――については、さらに悪い心の健康状態との緊密な関係がみられた。これらがほかの項目よりも性差別的な考え方と強く結びついていることが、その理由である可能性が高い。

「浮気と女性に対する支配に関する特徴は、性差別的な姿勢と最も緊密に関連づけられる」と報告書の著者たちは指摘する。「いわゆる“男らしさ”と心の健康状態に関する結果に関連が認められたことは、性差別が単なる社会的不公平であるだけではなく、こうした態度を取る人々の心の健康状態が悪い結果でもあるという考え方を明確に示すものだ」

性差別の問題について多く執筆してきたタウソン大学のアンドリュー・レイナー教授は、次のように指摘する。

「伝統的な“男らしさ”を持つ男性ほど、自分のより根深い感情から自ら距離を置こうとする傾向が強い。こうした態度や行動が、女性やほかの男性、さらには自分自身との関係までをも遠いものにする。それが感情的な、そして最終的には物理的な孤独を促す。男性であることを切り札にすると、人生におけるあらゆる問題に自分一人で対処しなければならないからだ」
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編集=森 美歩

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