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2016.12.28

急増するロボット資産運用 「ウォール街を占拠せよ」発のアプリも

「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)」のデモ行進 (Photo by Monika Graff/Getty Images)


ロボアドバイザー大手「Wealthfront」の手数料は、最初の1万ドルまでが無料で、それ以上は年率0.25%となっている。これは、投資資金が増えるほど手数料が安くなる従来の資産運用サービスとは逆だ。Wealthfrontのライバルである「Betterment」の手数料は、投資資金1万ドル以下の場合で月額3ドル、毎月100ドルを預ける契約の場合は投資資金の0.35%を支払う。

これについてWealthfrontのアダム・ナッシュCEOは、「所得の少ない顧客から搾取している」と批判しているが、この意見は少々的外れだ。なぜならば、投資資金が1万ドルから10万ドルの場合、Bettermentの手数料率はWealthfrontと同じ0.25%だからだ。また、10万ドル以上の場合は0.15%とWealthfrontよりも安くなる。両社ともバンガードやiSharesの低コストのETFを投資対象としている。

激戦区となったロボット資産運用

ロボアドバイザーの手数料でも高いと感じる人にお勧めなのが、フォーブスの「フィンテック注目株50」にも選出された「Motif Investing」だ。同社は、テーマ別に投資ができる「Motif」という商品を個人投資家向けに販売しているほか、手数料と管理費が無料の「Horizon Motif」を9本販売している。Horizonの償還期間は1年、5年、15年の3種類で、それぞれに3段階のリスクが設定されている。投資家はポートフォリオの内容をカスタマイズできるが、その場合は手数料が発生する。

チャールズ・シュワブが3月に立ち上げた新サービス、「インテリジェント・ポートフォリオズ(Intelligent Portfolios)」も管理費や取引手数料が無料だ。ただし、ポートフォリオの25%を占めるシュワブのETFは、信託報酬がWealthfrontやBetterment、Motifよりも高い。また、ポートフォリオの6-30%はリターンの低いマネー・マーケットに配分されている。(WealthfrontのナッシュCEOは、30%も現金に配分するのは犯罪に等しいと批判しているが、シュワブは中長期の投資家にとって6-10%は最適な配分だと反論している)

シュワブの強みはフルサービス型の証券会社であることで、投資家はインテリジェント・ポートフォリオズと個別の株式への投資を一元管理することができる。インテリジェント・ポートフォリオズは、リリースからわずか5か月で預かり資産が41億ドルに達し、その約80%はシュワブの既存顧客が占めるという。(Wealthfrontの運用資産は30億ドル以下)
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編集=上田裕資

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