テクノロジー

2016.12.08 17:00

ポケモンGOの「謎の仕様変更」 広告ビジネス本格化の予兆か

Manintino / shutterstock.com

Manintino / shutterstock.com

12月1日、ポケモンGOの新機能「Nearby(近くに居るポケモン)」が北アメリカ大陸全土とヨーロッパの大部分に導入された。ナイアンティックは、これまで一部の地域に限定してテストを行っていた。しかし、最新アップデートでは仕様が大きく変更されており、ユーザーから不満が噴出している。

テスト版では、近くのポケストップにいるポケモンがわかる「Nearby」と、近くにいる野生のポケモンがわかる「Sightings(目撃情報)」という2つのリストが表示されていた。しかし、新仕様では、Nearbyにポケモンが表示されているときには、Sightingsが表示されなくなっている。都市部ではポケストップの数が多く、Sightingsが表示されることはほとんどないため、すぐ近くに野生のポケモンがいても気が付かない可能性がある。

ポケストップが少ない郊外ではSightingsを是非とも活用したいところだが、Nearbyリストに1件でも表示されているとSightingsは非表示になってしまう。ポケストップから遠く離れた辺鄙な場所でもない限り、Sightingsは表示されなくなってしまったのだ。

多くのユーザーは、ナイアンティックが数か月間テストを行ったにも関わらず、このような使い勝手の悪い仕様にしたことに対して不満を抱いている。しかし、筆者はナイアンティックが何らかの意図をもってこのような機能に変更したのだと分析している。

広告ビジネスへの活用か?

筆者が最も有力だと考える説は、ポケストップを活用した店舗向けマーケティングを強化するというものだ。ナイアンティックはこれまでいくつかの地域で「スポンサー付きポケストップ」のテストを実施しており、マクドナルドなどと提携している。

Nearby機能によってどこのポケストップにどのポケモンが出現しているのかわかるようになったため、スポンサー付きポケストップにレアポケモンを出現させれば、店舗側が希望するタイミングで集客を図ることが可能になる。これはポケモンGOならではの画期的な集客策だ。

例えば、あるレストランがポケストップのスポンサーになり、ヒトカゲを出現させたとしよう。すると、ヒトカゲのアメを集めてリザードンに進化させたいプレーヤーはこぞってそのレストランに足を運び、ついでにランチも注文するに違いない。

そのレストランの近くのスターバックスがミニリュウを出現させれば、食後のコーヒーを飲みつつ捕獲しにいく人も多いだろう。こうしたマーケティング施策がナイアンティックと店舗にもたらす経済的メリットは計り知れないが、これはNearby機能があってこそ実現できるものだ。ナイアンティックはこれまで特定のポケストップに特定のポケモンを出現させることはなかったが、店舗向けマーケティングを強化する上でこれを実現することはほぼ間違いないだろう。

次ページ > 訴訟対策の可能性も

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事