アップルのスティーブ・ケナー(Steve Kenner)は米道路交通安全局(NHTSA)への書簡で、「当局の方針が、既存の自動車産業以外の企業に不利なものであってはならない」と述べた。
ケナーによると、現在のガイドラインではテスト段階の自動運転車が公道で走行する許可が得られるかどうかがあいまいだ。「公平な競争を助長するためにも、既存の自動車メーカーと新規参入企業が平等に扱われるべきだ」とケナーは述べている。新規参入企業にも既存メーカーと同じルールが適用されなければ、アップルには不利になる。
アップルが書簡を送ったことにより、同社がこの分野への参入に意欲を見せたと報道されている。しかし、それはどういったアプローチになるのか。自動運転車のソフトや技術を提供するのか、もしくは自社で自動運転車を製造するのか。その全貌は依然見えてこない。
マクラーレン買収説は立ち消えか?
この1年、アップルの自動運転車に関して様々な噂が飛び交った。2016年初めにはデザイン担当副社長のSteve Zadeskyが退社した。Zadeskyは過去にフォードでエンジニアを務めており、アップルの自動車プロジェクトを牽引してきたと見られていた。
アップルが数か月にわたり自動車関連エンジニアリング企業と交渉中との噂もあった。フィナンシャルタイムズは9月に、アップルがマクラーレンを買収する構えだと報じたが、まだ実現していない。10月の報道では、アップルは自動車関連の人材を大量に解雇し、自動車プロジェクトは頓挫したとの見方も出ていた。
一方で6年以上前に自動運転車の開発を始動したグーグルには、この分野への注力が続いていることが明らかだ。自動車業界での経験が長いJohn Krafcikを昨年9月に迎え入れ、この分野のビジネスを展開する意欲を見せている。関係者からはグーグルの自動運転車開発チームが社内プロジェクトを卒業し、独立ユニットになるとの話も出ている。
2月の株主総会の場でティム・クックは自動車プログラムに関する質問にこう答えた。「子供の頃、クリスマス・イブにワクワクした経験が誰にもありますよね。しばらくはそんなクリスマス・イブの状態が続くと考えてください」
それから10カ月が経とうとしているが、まだサンタクロースが来る気配もない。