特にサプライズは極めて重要だった。男性がひざまずいて小箱を差し出すと、女性は抑えきれない喜びを表現する――ダイヤ業界はこぞって、このドラマチックな瞬間に絡めたテレビCMを制作した。
現代でもこの筋書きの主な要素は変わらないが、時代と共にそのやり方は進化し始めている。結婚前に一緒に暮らすカップルが増えており、財布(家計)を共有している場合さえあるかもしれない。そしていざ婚約するとなると、二人で指輪選びをする傾向がある。
そのため、月に1,220万人が訪れる結婚情報サイトのザ・ノット(The Knot)は、結婚を予定している女性のための新たなツールを開発した。その名も「ヒント」だ。10月25日からサービス開始した。
コンセプトは単純だ。ユーザーは同サイト内の既存の婚約指輪ギャラリーの中から、「宝石の形」「メタルの種類」や「スタイル(ビンテージ、グラマラスなど)」といったフィルターを使って好みの指輪を検索することができる。気に入った指輪を個人ページに保存し、リンクをパートナー(それは図々しいと思う場合は母親や親友)に送ることができる。
「ヒント」は、既に(賃貸契約や車の購入など)数々の重要な決断を共に下してきたカップルが、現代の平等な関係性中で、“伝統的な婚約”の価値を維持しようとする時に直面する“曖昧さ”に対処するサービス、として位置づけられている。
婚約・結婚指輪について、女性が自分の意見を反映させたいと考え、共有の銀行口座から一部資金を出してもいいとさえ考えている場合、男性はどうしたら“サプライズ”の要素を維持することができるのか。
ザ・ノットを所有する株式公開会社XOグループのPRディレクター、メリッサ・バッハは、そのような状況では「(サプライズは)気まずいものになりかねない」と言う。サプライズの要素をなくさないために、同サイトのギャラリー内にある指輪は価格表示がなく、代わりに$マークの数で分類されている。
たとえばリタニ(Ritani)の695ドルなら「$$」、サイモンG(Simon G.)の8,030ドルの指輪なら「$$$$$」といった具合だ。だがリンク先で指輪を購入できるようになっているため、男性側は恋人のお気に入りの指輪をオンラインで注文することができる。