同社のアナウンスはGMやフォードらがウーバーに対抗し、相次いで競合ビジネスの立ち上げを宣言した流れに続くもの。
Moiaは「来年1月から50名のスタッフで始動し、急速に業務を拡大していく」とロンドンで開催のテッククランチのカンファレンスで発表した。同社は環境にやさしい車両の使用にフォーカスし、フォルクスワーゲンの12ブランドの車両を用いるという。
フォルクスワーゲンCEOのマティアス・ミュラーは「将来的には車を所有するライフスタイルは主流ではなくなるかもしれないが、Moiaのサービスを通じ、人々の暮らしに車が溶け込む世界を実現したい」と述べた。
Moiaは公共交通機関との提携も視野に入れている。フォルクスワーゲンは2025年までにこの部門が主要事業の一部に成長すると見込んでいる。
「Moiaはフォルクスワーゲン傘下で独立した一企業として運営され、独自のモビリティサービスを手がけていく。都市や交通システムとパートナーシップを結ぶ可能性もある」と、MoiaでCEOを務めるOle Harmsは述べた。「我々のゴールはモビリティサービス分野でグローバルレベルの主要企業なることだ」
GMやフォードもウーバーに反撃開始
近年のウーバーやリフトの成功はオンデマンド市場に革命をもたらした一方、既存のタクシー業界を痛めつけ、自身では車を持たないライフスタイルも広まっている。
10年後に到来するであろう自動運転時代には、ロボット化された車両が格安のライドシェアサービスを提供することも考えられる。自動車メーカーらは売上減少の穴埋めとして、ライドシェアサービスのシェアを少しでも確保しておこうと必死だ。
そのような思いでGMはリフトに出資し、サンフランシスコの自動運転企業のCruise Automationを買収し、乗り捨て型のカーシェア事業Maven(メイヴン)を立ち上げた。フォードもオンデマンドサービスのChariotを買収。2021年までに自動運転車をライドシェアサービスに投入すると発表した。
フォルクスワーゲンは既にヨーロッパで人気のライドシェアGettに出資しているが、Moiaの立ち上げによりモビリティ分野の取り組みをさらに拡大していくという。
ウーバーはここ数年で急成長を遂げたが、今後は競合らの追い上げにさらされることになる。巨大な資本を有する世界的自動車メーカーらが、専用車両を投入し、モビリティ分野に進撃を開始した。
それはウーバーにとっては脅威だが、消費者にとっては利益をもたらすことになるかもしれない。