スティーブ・ジョブズが、マックに複数のフォントを搭載することを決めた逸話は有名だが、インスタグラムのケビン・シストロムにも似たような話がある。
スタンフォード大学の学生だったシストロムは、写真撮影を学ぶためにイタリアのフィレンツェへ飛んだ。
「年月で色褪せた写真の美しさ、というものをそこで知ったよ。“不完全な美しさ”も」
そう語る彼は、そのときに得た着想を後のインスタグラムの開発につなげている。
また、フィレンツェ留学期間中にもう一つ、運命を変える出来事があった。起業プログラムに申し込んだことで、エバン・ウィリアムズ率いるポッドキャスト開発企業「オデオ」でインターンをする機会を得たのだ。後に「ツイッター」を生んだ会社である。
そのとき、一緒にアプリを開発した同僚の名はジャック・ドーシー。ツイッターの共同創業者であり、簡易決済サイト「スクエア」の共同創業者でもある。二人は意気投合し、ドーシーはインスタグラムに投資している。
近年、「大学を中退してでも、起業すべき」という声もあるが、シストロムはこう言う。
「大学はムダと言う人もいるけれど、僕は賛成できない。そこで得た経験や学んだことは、そのときは不要に思えるかもしれない。でも人生が進むにつれ、役立つものだよ」