フェイスブック中国版は実現する? 「検閲」という高すぎる代償

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フェイスブックが中国向けにサイト上のコンテンツを検閲するソフトを開発したと報道されている。しかし、フェイスブックが世界最大のネット市場に参入したとしても、その代償は大きすぎるのではないだろうか。

他のアメリカ企業も中国マーケットに入るために同じことをしてきた。2006年に中国に参入したグーグルは検索結果を自主検閲しながら運営を続けたが、現地企業バイドゥ(百度)に負けた。巨大な資本を投下し、中国語での検索結果の改善を図ったにもかかわらず、マーケットの3分の1も獲得できず2010年に撤退した。

仮にフェイスブックが中国上陸を果たしたとして、ウェイボー(微博)やWeChatのような現地のSNS企業に対抗できるのだろうか。筆者が個人的に知る中国人のほとんどは、現地のサイトでネットワークを持っているし、中国のSNSは米国など海外でもユーザーを増やしている。

フェイスブックは中国でライバルを押しのけ、ユーザー同士のつながりを構築しなければならない。現時点で中国でフェイスブックを利用しているのは、海外経験を持つ英語を話す中国人や、一部のエリートにとどまっている。もしも、同社が中国マーケットに入るのであれば、中国人が海外の人々と交流できることを売りとしなければならないだろう。

そして、おそらくもう一つの魅力は検閲されていないニュースに触れられることだ。しかし、今回フェイスブックが開発したツールは、特定のエリアをターゲットに、政治的に不適切なニュースをブロックするものだという。

フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグは、中国進出への意欲を隠さない。彼は中国語を学び、何度も中国を訪問し、現地のテック業界のリーダーたちと会っている。ザッカーバーグはそろそろ、他の米企業のようにコンテンツの検閲を受け入れる時期なのかもしれない。もしくは、中国のルールが変わるのを待つ手もあるが、それが実現する可能性は限りなく低い。

編集=上田裕資

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