WeWork共同創設者のミゲル・マケルビー(photographs by Malcolm Brown)


UXというのはソフトウェアの用語ですよねー?

「私たちはソフトウェア会社のように業務を行っています。たとえばオフィスの物理的空間を制御するオペレーティング・システム(OS)の開発にも日々改良を加えています。これが、我々と他社が大きく違う点ですね」

あらゆる企業のビジネスがデジタル化しつつあるとはいえ、不動産会社の経営者の口からテクニカルな用語が次々に飛び出すのには、多少の違和感を覚えなくもない。だがWeWorkは自らを“テクノロジー企業”だと認識しているようだ。

ミゲルによると、同社ではオフィスの建設、デザイン、開発のすべての工程で、自社開発のソフトウェアを活用している。これによって「すばやく事業を拡大し、効率的に運営できる」のだという。

たとえば、マンハッタンでは従業員一人当たり250平方フィート(約23平方メーター)ほどのオフィススペースが一般的だが、同社が提供するオフィスでは無駄なスペースを排除した結果、その5分の1程度に縮小できているという。当然、面積当たりの売り上げは高くなる。

「それまで使われていなかったリソースを有効活用したという点では、Uberなどと共通点があるかもしれませんね」とミゲルは胸を張る。

確かに、オフィススペースはそれほど広いとは言えない。だが共有スペースにはソファなどが置かれ、息詰まるような感じもしない。まるで人気のカフェのように、やや賑やかで熱気がありつつも、仕事に集中できそうな空間だ。

利用料金はロケーションによって異なるが、不動産価格が高騰するニューヨークにあっても、かなり高額だ。ウォール街にある同社オフィスを例にとると、共有デスクを使うプランなら月額575〜600ドル、3人用のプライベートオフィスなら2,000〜2,580ドルもする。

いったいどんな客が利用しているのだろうか。コワーキングスペースといえば、賃貸料を安く済ませたいスタートアップやフリーランス向けというイメージがある。実際、オフィス内を歩いて回ると、スタートアップと思しき企業名が多く目についた。

だがミゲルは「最初は小規模のテクノロジー系スタートアップを対象にしていたが、今ではフォーチュン500社の企業も入居している。あらゆる業界のあらゆる企業が顧客です」と話す。

彼らが公表している顧客リストを見せてもらうと、マイクロソフトやアメリカン・エキスプレス、レッドブル、ガーディアン(英紙)などの大手から、AirbnbやUber、Yelpといった話題のスタートアップまで有力企業の名前が並ぶ。数百人単位で入居し、複数のフロアを占有する大手企業もあるという。

文=増谷 康

 

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