搭載されている機能や700ドル(約8万円)という平均販売価格からみて、PixelはアップルのiPhoneや、その他のアンドロイド搭載の高価格帯モデルに真っ向から挑戦を挑んだといえる。発売直後のPixelの売れ行きは、好調を維持しているようだ。
米国の携帯電話市場と無線市場を専門とする調査会社ウェイブ7リサーチによると、同国の大手携帯キャリア、ベライゾンがPixelの発売からおよそ1か月の間に受け付けた通信回線契約は、7.5%がPixelの2機種の契約だったと推計される。また、スマートフォンアプリ解析ツールのロカリティクスによれば、Pixelの通信回線契約数は感謝祭(11月24日)の週末までの4週間に、それ以前の4週間と比べ112%増えた。
業績への影響
前出のノムラのアナリストは、2017年に予想される18億ドルの売上高はアルファベットに、およそ1~2億ドル(約113億4,900万~226億9,900万円)の営業利益をもたらす可能性があると予想。一方、モルガンスタンレーのアナリストは、Pixelによって得られる粗利益が9億ドル程度と予測している。つまり、Pixelの販売によってアルファベットが得る最終的な利益は向こう数年、それほど大きくはならないとみられる。
だが、今後Pixelの販売がどのように推移するのか、またその他のアンドロイド搭載機種のメーカー各社にどのような影響を及ぼすのかについては、興味深いところだ。
アップルへの影響は?
iPhoneの2016年度の販売台数は、約2億1,200万台。売上高は1,367億ドルに達した。モルガンスタンレーの予想通り、Pixelの販売台数が550万台に上ったとしても、iPhoneを脅かすほどのことにはならない。だが、それでもアップルにとって、Pixelは懸念すべきものだと言えるだろうか?
答えは「イエス」だ。グーグルがPixelを通じてより良い顧客経験を提供し、サービスやアプリを通じた売上高を増やし、同時にトラフィック獲得コストを下げることができたとする。さらに、アンドロイド搭載機種をPixelだけに絞り込むことができたとすれば、iPhoneのシェアに食い込むこともできるかもしれない。
アンドロイド搭載端末のメーカー各社にとっての課題は、携帯電話の販売によって世界全体で生み出される利益のおよそ90%がここ数年、アップルの懐に入っているということだ。ただし、Pixelのプライス・ポイントから考えれば、今後はこの状況に影響が出てくる可能性はある。