4人の創業者が語る「僕らのクリエイティビティ論」

アーロン・レヴィ(左)、ジョー・ゲビア(右)/イラストレーション=リック・テュマ


アレックス・ボガスキー/Fearless Cottage・COMMON共同創業者

アイデアに執着しないこと。良し悪しを決めず、未来がありそうなアイデアに取り組むことが大事。

そもそも、「良いアイデア」と「悪いアイデア」というものがあるのだろうか? じつは、この思い込みをなくすことが重要なのかもしれない。初めからアイデアに価値があるわけではない。形になることで、初めて価値が生まれるものだ。

広告の世界では、「ものすごいアイデアを思いついた」という人をよく見かける。自分の中に“宝物”のようにしまいこむんだ。そうやって気づかないうちに、自分のアイデアの虜になっていく。

むしろ、“天啓”のように扱うのではなく、“木の葉”くらいに思えばいいのではないか。そうしたら、肩の力が抜けてもっとアイデアが降ってくるはず。足元を見れば、アイデアは無数に落ちているよ。

「ユリーカ!」的なひらめきよりも、すでに実在するもので、ニーズがあり、すぐに形にしたくなるアイデアのほうが成功する、という研究結果もある。それに、泥くさく地道にコツコツと改善していくアイデアと比べて、ひらめきや思いつきには意外と伸び代がないものだ。

大事なのは、特定のアイデアに執着しすぎないこと。自分で良し悪しを決めるのではなく、目の前にあるもので前に進められそうなものを見つけて、どうすれば形にできるかを考えるほうがいい。


アレックス・ボガスキー◎ブランドエージェンシー「Fearless Cottage」、アクセラレータ「COMMON」共同創業者。米広告制作会社「クリスピン・ポーター+ボガスキー(CP+B)」のクリエイティブ・ディレクターとして反タバコ広告「truth」を手掛けるなど活躍。米広告専門誌「アドウィーク」に“2000年代最高のクリエイティブ・ディレクター”と評される。CP+B共同会長を経て現職。


ジェレミー・ストッペルマン/「Yelp」共同創業者兼CEO
周りの意見に耳を傾けること。同僚との会話を大切にし、常に彼らから学ぼうとすることだ。

イェルプを創業したときから気をつけてきたことがある。それは、なるべく自分が関心の持てる領域にかかわれるような組織に育てることだ。僕はもともとエンジニアだったこともあって、プロダクトの開発や技術的な部分に関しては、いつだってエンジニアたちとの議論に加わっていきたいと思っているよ。

もちろん、社員にそれぞれの仕事を任せることは大事。彼らがしたいようにさせてあげることもCEOの務めだと思う。彼らの力を信頼もしている。

でも、最終的な決断を下すためには情報が必要になるし、そのためにも社員との距離を縮めなくてはいけない。会社が成長すると、これがなかなか難しい。

そこで、意識しているのが「会話」の力。特に大事な予定がないときは、エンジニアと一緒に昼食をとるようにしている。それも大勢ではなく、なるべく2人だけでじっくりと話せるように心掛けている。僕にとっては、エンジニアたちのことをよく知り、彼らの興味やアイデアを教えてもらうことがとても大事だ。

僕らにとってはプロダクトが会社そのもの。だから、良いエンジニアの文化が不可欠だ。それがあって初めて、ユーザーに喜んでもらえる製品を作れる。


ジェレミー・ストッペルマン◎レビューサイト「Yelp」の共同創業者兼CEO。簡易決済サイト「ペイパル」のエンジニアリング担当上級副社長を経て、2004年に創業。当初は友人間の情報共有サイトだったが、現在のサービスに移行した。11年にIPO(新規株式公開)を果たし、セールスフォースのマーク・ベニオフCEOによる「強いオススメ」もあって、14年には日本版を立ち上げている。

インタビュー=フォーブスジャパン編集部、イラストレーション=リック・テュマ

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