4人の創業者が語る「僕らのクリエイティビティ論」

アーロン・レヴィ(左)、ジョー・ゲビア(右)/イラストレーション=リック・テュマ

アイデアはどのようにして生まれるのか? どうすれば、クリエイティブな組織文化を築けるのだろうか? 小さなアイデアを世界的な企業に育て上げた創業者たちに、彼らの創造論を訊いた。

ジョー・ゲビア/Airbnb共同創業者兼CPO
「好奇心」からイノベーションは始まる。何ごとも不思議がる文化をつくるとよい。

エアビーアンドビーでは、「好奇心」こそが、人類の最も偉大な特徴の一つだと考えている。そして、僕らが理想とするチームは、“情報のスポンジ”とも呼ぶべき、知識欲に溢れ、変化が起きても不安を覚えない人たちの集まりだ。 

それに、僕は「好奇心」がきっかけでイノベーションは生まれるものだと思っている。なにごとも不思議がるような組織文化ならば、誰かがきっと実験もするし、未知なるものを探したりもする。

もちろん、その過程で「失敗」することだってあるかもしれない。でも、長い目で見たときに成功している組織は、この「失敗」を一つの出来事で終わらせず、考え方や姿勢の観点から考えるものだ。

「失敗」とは、実際に起きた出来事そのもののことではない。むしろ、それに対して本人が抱いたダメな反応のことだよ。本来ならば、教訓として肯定的に捉えるべきなのに。

いろいろなことを試してみることを怖がらないようになれば、より多くのリスクをとることで新たな発見もあるはず。

僕らなんて社内に未来を予測し、未知なる世界を探求するチームさえ設けている。エアビーアンドビーにとっての未来とは何かー。テクノロジー系の企業であれば、明日の世界について調べるのは当たり前のこと。

スタートアップである僕らの旅はまだ始まったばかりだけれど、好奇心を保ち、実験し続け、価値観を守りつつ、目標に向かうのみ。ただ、それだけだよ。


ジョー・ゲビア◎宿泊賃貸サービス「Airbnb」の共同創業者兼CPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)。同社のクリエイティブやデザイン全般を統括している。日本とデンマークのデザインがお気に入り、だと明かす。理由は、「共に飾り立てるのではなく、洗練させていくデザイン文化がある。それに、見栄ではなく、品位を重んじている点も好感が持てる」からだという。


アーロン・レビィ/Box共同創業者兼CEO
重要なのはアイデアよりも、実際に行動を起こして、そのアイデアを「形」にできるかどうかだ。

ビジネスで成功するために何が必要か。一つだけ挙げろと言われれば、「大胆さ」じゃないかな。たいていの場合、足りないのはクリエイティビティではない。

クリエイティビティはもちろん大切だけど、そんなことは当たり前すぎて、今さら議論にもならない。それはシリコンバレーでやっていくための「最低条件」。だってクリエイティブじゃない人は、そもそもシリコンバレーになんていられないから。

多くの人が勘違いしているけど、ビジネスで大切なのはアイデアよりも「実行力(execution)」の方だ。そのためには「大胆」になれないといけない。

シリコンバレーでずっとビジネスをやってきて、いつも面白いなと思うのは、成功しているスタートアップってたいてい、いろんな人から「じつは、私も同じビジネスモデルを考えていたんです」と言われること。でも考えていたかどうかなんて関係ないん
だ。結局、その人たちは「実行」しなかったんだから。

僕自身、大学時代にソーシャルネットワークの構想をもっていたけど、フェイスブックを作らなかった。今考えたら、作っておくべきだったと思うよ(笑)。

僕のほかにも同じことを考えていた起業家はきっとたくさんいたと思う。でもみんな頭の中で考えただけで終わった。ただマーク・ザッカーバーグだけが「大胆」になって、実際にプロダクトを完成させた。

だから何を考えたかは重要じゃない。実際に行動を起こして、そのアイデアを形にできるかどうかなんだ。


アーロン・レヴィ◎クラウドストレージ大手「Box」の共同創業者兼CEO。2005年、南カリフォルニア大学在学中に友人らと同社を創業。当初は一般ユーザー向けだったが、企業向けに戦略を転換したことで業績を急拡大。現在、6万2,000社以上の顧客を抱える。14年に日本法人を設立し、楽天やリクシル、資生堂、セブン-イレブンなどがBoxを導入。15年、ニューヨーク証券取引所に上場。

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インタビュー=フォーブスジャパン編集部、イラストレーション=リック・テュマ

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