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2016.12.03

次期米大統領の娘婿にして腹心、ジャレッド・クシュナーが語る激動の半生

クシュナーとイヴァンカ(Photo by Mike Coppola/Getty Images for People.com)


父の投獄により一家の柱に

父親が収監されたことにより、当時まだ24歳だった長男のジャレッドは突如として一家を支える立場に置かれた。平日は母親と過ごし、週末はアラバマへと飛んで刑務所の父親と面会する日々が続いた。またこの苦境の中、当時ハーバードに進学したばかりだった弟のジョシュとの間に強い絆が生まれた。ジョシュは、自分にとって兄のジャレッドは親友であり、「何があろうとも自分を導き、助けてくれる存在」だと語っている。

クシュナーはこの苦難により、「自分でコントロールできないことについてはくよくよしないということを学んだ」と語る。「自分がどう対応するかはコントロールできるし、物事が自分の思うように進むよう努力することもできる。望んだ結果が得られるように、全力を尽くすことに集中した。もし思うようにいかなかったら、次の機会でもっと努力すればいい」

この考えは、父親から引き継いだ事業の経営についても同じだった。クシュナーが心機一転のスタートを切るため標的としたのは、40年前のトランプと同じ、競争が激しいが大きな利益が見込めるマンハッタンだった。

だがこのタイミングは、これ以上にないほど最悪だった。クシュナー・カンパニーズのCEOとして最初に買収した物件となった高層ビルに過去最高額の180億ドルを支払ったが、2007年に取引が成立した翌年にリーマンショックが発生。賃料は下落し、財源は消え去った。

クシュナーは破産を避けるため、ビルの小売スペースの49%をカーライル・グループなどに5億2,500万ドルで売却、できる限りすべてのローンを組み直し、目先の負担を軽くするためには長期的な支払いの増加もいとわない姿勢を見せた。こうして最終的にクシュナーは、トランプが1990年代に行ったような破産を避け、事業存続に成功した。

教訓を得たクシュナーは、ニューヨークの最高級物件を追い求めるのをやめ、将来性があるマンハッタンのソーホーやイーストビレッジ、ブルックリンのダンボといった地区に焦点を移した。「ジャレッドは若い視点と革新的な考え方を、70歳の男性たちが牛耳るとても古風な産業に持ち込んだんです」(イヴァンカ・トランプ)
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翻訳・編集=遠藤宗生

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