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2016.12.03

次期米大統領の娘婿にして腹心、ジャレッド・クシュナーが語る激動の半生

クシュナーとイヴァンカ(Photo by Mike Coppola/Getty Images for People.com)

今年の米大統領選で共和党陣営に劇的勝利をもたらしたドナルド・トランプの娘婿、ジャレッド・クシュナー。選挙運動での自らの役割をメディアに初めて語ったフォーブスの独占インタビューより、激動の青年期や、イヴァンカと交際時のエピソード、義父の問題発言に対する考えなど、当初伝えきれなかった内容を公開する。

自制を保ち、控えめで落ち着いた風格のクシュナーは、義父のトランプとはまるで正反対の性格とスタイルを持ち合わせている。ツイッターが顕著な例だ。トランプは1550万人のフォロワーに向けて衝動的な投稿を繰り返し、選挙運動中にはスタッフから携帯電話を取り上げられたこともあったと報じられているが、クシュナーは2009年4月に公認アカウントを立ち上げてから現在まで一度も投稿をしていない。

トランプのオフィスは、壁一面に自身の功績を示す品々が掲げられ、自尊心にあふれている。一方のクシュナーが経営するクシュナー・カンパニーズの本社はいたって地味な作りで、役員会議室に唯一ある装飾は第2次世界大戦でホロコーストを生き延びたユダヤ人祖父母の油絵だ。だが角部屋にあるクシュナーのオフィスに入ると、2人を結びつける2つの重要な共通点が目に入る。それは、不動産取引での実績を示す品々と、イヴァンカの写真だ。

トランプと共通するキャリア

クシュナーはビジネス関連の昼食会でイヴァンカと出会い、2007年に交際を始めた。結婚を意識するようになったクシュナーがトランプをランチに誘うまで、2人は数回しか会ったことがなかった。クシュナーが、イヴァンカとの将来を真剣に考え始めていると伝えると、トランプからは「本当に真剣に考えているんだろうな」と言われたという。

「ジャレッドと父は最初、私と不動産という2つの話題で意気投合したんです」。トランプ・タワーでシークレットサービスの警護員に囲まれながら取材に応じたイヴァンカはこう語った。「不動産開発業者としてのジャレッドと、駆け出しのころの父のキャリアには、共通点がたくさんありました」

クシュナーはトランプと同じく、マンハッタン郊外で育った。クシュナーの地元はニュージャージー、トランプはクイーンズだ。両者の父親はいずれも、地元での不動産取引で大成功を収めた人物だ。チャールズ・クシュナーは米北東部で2万5,000棟の集合住宅を管理する不動産王だった。

「父はサマーキャンプに反対で、代わりに子供たちを自分のオフィスに連れて行った。僕らは仕事や建築現場の様子を見て、本物の仕事とは何かを学んだ」

ニュージャージー州リビングストンの厳格なユダヤ人家庭で4人兄妹の最年長として育ったクシュナーは、私立のユダヤ系高校を卒業し、ハーバード大学に進学。さらにニューヨーク大学大学院で法務博士(JD)と経営学修士(MBA)を取得した。

父のチャールズ・クシュナーは熱心な民主党支持者で、2002年には民主党全国委員会に100万ドル、2000年の上院選ではヒラリー・クリントンに9万ドルを寄付していた。ジャレッドも同じく、民主党全国委員会に6万ドル、クリントンに1万1,000ドルを寄付している。

そして大学院在学中に一家を襲ったスキャンダルにより、彼の人生は大きく変わることになる。父チャールズは2004年、脱税と違法政治献金、証人への不当圧力の罪で有罪を認め、実刑判決を受けた。中でも全米の注目を集めたのが証人への不当圧力だった。チャールズは妹の夫が検察に協力していたことに怒り、わなにかけるため売春婦を雇って密会の様子を撮影し、そのテープを妹に送り付けた。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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