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2016.12.01

アジアで最も注目のビジネスマン、中国最大の配車サービス滴滴出行CEOの素顔

チェン・ウェイCEO (Photo by Jasper James)

機会に支えられた滴滴

滴滴を創業した2012年、同社のアプリはすぐに大成功を収めたわけではなかった。スマートフォンの普及率はまだ低く、中国のタクシー業界は需給がひっ迫していた(北京では過去10年に人口が急増した一方で、タクシーの台数は現在も6万6,000程度にとどまっている)。

利用者が急増したきっかけは、その年11月に中国を襲った暴風雪だ。通勤の足に困った人たちの多くが、滴滴のアプリに頼った。1日当たりの配車予約件数はこの時に初めて、1,000件を超えた。

程が外部からの出資を受け入れることを決めたのもこの頃だった。金沙江創業投資(GSRベンチャーズ)が300万ドル(約3億4,200万円)を出資。その他アップルや世界的なヘッジファンド、アジアの大手企業などに加え、アリババやテンセントも滴滴に投資している。

中国の400都市でサービスを展開する滴滴のユーザーは、起業からわずか4年でおよそ3億人に達した。正規タクシーのほか、自家用車を使った「白タク」やリムジン、通勤用のバスの利用にも対応する滴滴の中国市場でのシェアは、85%に上る。中国のインターネット業界専門の調査会社「易観国際(Analysys International)」によれば、同市場は2017年末には1,220億元(約2兆230億円)規模、2018年末には2,860億元(約4兆7,430億円)規模に達する見通しだ。

一方、滴滴は交通状況や利用者の需要などをより正確に予測することを可能にするため、自動運転車の開発やビッグデータ・テクノロジーへの投資も始めている。自動車ローンなど、その他の関連サービスにも事業を拡大したい考えだという。

夢は「世界進出」

いずれは滴滴をウーバーのような、国際的な事業を手掛ける企業に成長させたいという程は、「今後も競争を続けていく。だが、それは中国での競争ほどにひどい戦いにはならないだろう」と語る。すでに外国の関連企業の株式取得も進めており、ウーバーと競合する米リフトのほか、インドの「オラ」、東南アジアでサービスを展開する「グラブタクシー」と提携している。

今年すでに1億1,000万人を超えている中国人の外国旅行者らは、こうした敵的のビジネスのおかげで、旅先でも同社のアプリを通じてタクシーを利用することができる。また、滴滴は11月にエイビスとの提携も発表。中国人ユーザーらは、旅先で気軽にレンタカーも利用できるようになった。

程は今後の同社について、「世界最大のワンストップの交通プラットフォームとなることを目指す」と述べている。

「新しい業界と旧来の業界の争いにする必要はない。ライドシェアリング市場が今後も成長を続けていくことは明らかだ」

編集 = 木内涼子

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