FIを「NTTの技術」のショーケースに/庄司哲也社長

NTTコミュニケーションズ 庄司哲也社長(Photo by Mike Harrington)


他のIT企業と違い、NTTコミュニケーションズはインフラ企業でもある。しかも、そこには日本人ならではの“思想”がある。庄司はそれを「インフラ屋として身に染みついたDNA」と言う。

「技術とは構築するだけではなく、その後が大事です。メンテナンスをする技術をもつことで、大切なものを長く維持させることができる。日本は古くから天変地異に見舞われ続けてきたため、設備を維持し、サービスを継続させるための技術思想が身についているのです」

 一方、ロン・デニスの問いかけは、庄司の気持ちを高ぶらせた。

「勝利は一朝一夕では成しえない。我々は、あきらめないマインドをもったパートナーを求めている。あきらめない限り、敗者にはならないのです」

庄司は「我々は究極の目的に向かってあきらめないチーム力をもっていますよ」と答えた。こうして7月、両者は協業契約を結んだのだ。

電電公社の民営化、NTTグループの再編と海外への進出、デジタル化の加速、そして新しいクラウドコンピューティング。「変化するのが当たり前という業界だったので、先を読まないと危機管理はできないんです」と、庄司は言う。危機を回避する答えも、マクラーレンとの提携から見えてくる。

ひとつは「味方をつくる力」。パートナーとの共同作業が進化を生む。そして、自分たち自身の「ダイナミックな変革」だ。自らが飛躍的に進化をしないと、「お客様の飛躍の手助けをできないから」と言う。

「F1チャンピオンのマリオ・アンドレッティの言葉を私は座右の銘にしています。If everything seemsunder control, you’re just not going fast enough.もしすべてがうまくコントロールされていると思うなら、それはスピードが足りないということ。限界に挑戦していないことへの戒めです」


庄司哲也◎1954年、東京都出身。77年、東京大学経済学部卒業後、電電公社に入社。80年、ニューヨーク大学に留学し、MBAを取得。91年、東西統一後のドイツで現地法人を設立し、副社長を務める。2012年、NTTコミュニケーションズ副社長に就任。15年より現職。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.29 2016年12月号(2016/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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