これら22の経験のうち、多数を占めるのは食に関わるものだ。「スクリーミング・イーグル」を造るナパバレーのワイン農園で食事を楽しむ経験や、有名シェフのゲイリー・ダンコが提供するランチを40人で味わう経験の入札額は、いずれも1万4,000ドル。
サザビーズとイフオンリーはその他の経験の落札額について、150ドル前後から数万ドルと見込んでいる。
両社の利害が一致
イフオンリーの創業者でもあるトレバー・トレイナ最高経営責任者(CEO)はフォーブスに対し、「当社が顧客ターゲット層としているのは、教育水準が高い富裕層であり、人生を豊かにしたいと考えている人たち。次いでミレニアル世代だ」と明らかにした。
トレイナが考えるとおり、ミレニアル世代は自らの人柄や関心事を表す自分の“ブランド”のキュレーションのために、ソーシャルメディアをプラットフォームとして使う。新たに購入したものをインスタグラムに載せる人はあまりいない一方で、旅先やイベント会場、大切な人たちとの集まりの場で撮影した自分自身の写真を投稿する人は多い。
トレイナCEOは、「サザビーズの競売に参加するのは、経験するということに非常に高い関心を持った人たちだと思う」「入札するということ自体も、経験の一つだ。驚きがあり、期待があり、興奮がある」と述べている。
両社にとっても「応札」となる今回のオークションの機会は双方にとって、品物を収集するよりもソーシャルメディアで写真を共有することを重視する顧客の獲得に向けた最善の「入札」といえそうだ。