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2016.12.09

環境保全と経済成長が両立、フロムファーイーストのビジネスモデル

Fotografiecor.nl / shutterstock


こうした背景から、フロムファーイーストは、“伝統の森”と呼ばれるカンボジアの農村部でBoP層とともに植林をし、洪水抑制を行い、植林した樹木から得られる葉・実・油等の原料を用いたシャンプーや石鹸、ヘアカラー剤等の美容関連消費財を日本市場向けに販売し、日本市場で得た利益をより広範囲の植林へ再投資していくといった循環型のビジネスを推進している。BoP2.0のビジネスモデルだ。

ただ単に原材料を調達するのではなく、BoP層の住む地域や彼らの農地を守るための森を広げていくことで、原材料の持続的な調達と洪水被害の抑制を両立することを目指している。自然を守りながら、自然から得た実や油を有効活用し生活を豊かにするといった手法は、これまでもBoP層が自然と共生していくために用いてきた伝統的な手法である。

【BoP2.0としてのビジネスモデル】
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さらに、フロムファーイーストは、BoP3.0として、“伝統の森”に異なる業界の様々な企業を呼び込むことによって、業界横断型の地域・産業発展を促している。

例えば、大阪を拠点とする「ときまたぎグループ」は阪口社長の呼びかけに応え、現地BoP層の生活や製品製造に必要な電力を供給する太陽光発電もしくは小水力発電事業を推進しようとしている。こうした取り組みによって利用できるようになった電力は、植林・農業のための揚水や原材料を加工するための機械を動かすために活用される。

【BoP3.0としてのビジネスモデル】(赤字:BoP2.0からの変更点)
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その結果、BoP層は原材料の一次加工ができるようになり、所得向上額を増加させることが可能になる。こうしてBoP層の生産能力が拡大することは、自社製品への需要が高まる中で持続的な成長を目指すフロムファーイーストにとっても喜ばしいことだ。

このようにエネルギー業界といった異なる業界の企業が参画することにより、地域の持続的な発展と事業の成長が一段と加速されることとなったのである。

文=平本督太郎

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