ビジネス

2016.12.09

環境保全と経済成長が両立、フロムファーイーストのビジネスモデル

Fotografiecor.nl / shutterstock

前回に続き、今回もBoPビジネス3.0の萌芽事例である日本企業を紹介する。今回紹介するのは、大阪に本社を構えるフロムファーイーストという会社である。

フロムファーイーストは、2003年に設立されたベンチャー企業。「美容室向け/一般向け美容商品の製造販売」を事業として推進しており、オーガニックココナッツや米ぬか等から作られる無添加かつノンキャリーオーバーの石鹸、シャンプーを中心とした美容商品を、自社のECサイト「みんなでみらいを」を通じて販売している。

これらは人間の肌に対して非常に優しいとともに、そのまま自然界に廃棄しても地球に負荷をかけない製品である。現在では、自社のECだけでなく、東急ハンズやイオン、伊勢丹等でも取り扱われるようになり、肌疾患で悩む消費者や安心安全な美容商材を求める消費者に高い評価を受けている。

フロムファーイーストの経営理念は「心の幸せ、身体の幸せを日本から世界へ」。阪口社長は日本の美容業界において蓄積された高レベルの技術を途上国に持ち込み、現地の人々と一緒に販売者・消費者・地球環境全てに良い影響を与えるビジネスを実施したいという思いを持っている。

そもそも阪口社長は、リオデジャネイロの環境サミット(1992年)でのセヴァン・スズキのスピーチに感銘を覚え、いつか現在の「経済発展=環境破壊」という仕組みを変えて「環境保護=経済発展」の仕組みを作ることが必要だと考えた。子どもが生まれた時に“100年先の地球”がイメージができなかったためだ。

そして自らも、人々が普通に生活するだけで健康になり、環境も改善していくような仕組みを作る事業をしなければと考えるようになった。

また、フロムファーイーストは、気候変動の影響による社会課題の増大に対しても強い問題意識を有している。例えば、カンボジアでは、気候変動により洪水の被害が年々多くなり、農作物を流されたり、財産を流されたりすることで、BoP層の生活が一層苦しくなっている。

その原因の一端を担っているのがカンボジアでの大量の森林伐採である。フロムファーイーストによる現地調査によって、洪水被害を抑制してくれる森林がない地域ほど、BoP層の生活が不安定になっていることが分かった。
次ページ > 伝統的手法を用いたBoPビジネス

文=平本督太郎

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事