LINEを襲う「成長の限界」 混迷のアジア、メッセージアプリ戦線

Chonlachai / Shutterstock.com


一方、世界進出に力を入れるネイバーにとって、SNOWは今後を支える重要な柱だ。ネイバーは韓国の“第1テクノロジー期”と呼ばれる時期に、検索やニュース、地図、メール、ブログ等のサービスを提供するポータルとして、その地盤を確立した。

しかし、その後はカカオトークの台頭により勢いを失った。カカオトークはゲームやO2O系のサービスも展開し、2014年にはネイバーの最大のライバルだったポータルDaumを合併した。

東京に本社を置くLINEは韓国でユーザー数を増やせずにいたが、日本やタイ、台湾、インドネシアで大人気となった。ネイバーはLINEのおかげで今年第3四半期の利益が前年同期比27.8%増となり、売上は8億9,000万ドル(約1,007億円)を記録した。

ネイバーは現在、モバイルを最優先としている。調達した資金でLINEのシェアを維持し、ヨーロッパやアメリカなどワッツアップの市場に食い込もうとしている。AIやビッグデータといった領域への投資も惜しんでいない。一方、カカオは韓国において急激に手を広げすぎたことにより自らの首を絞めているとされる。

しかし、LINEは新規ユーザーの獲得に苦戦し、既存マーケットへの依存度が高まっている。ネイバーが8月にSNOWを子会社化した後、LINEは9月にSNOWに4,500万ドル(約51億円)を出資し、25%の株式を取得した。

ネイバーはSNOWの勢いを活用してLINEの成長を後押しする意向だとされるが、フォーブスの取材に対し広報は詳細を語らなかった。

韓国のテック業界に精通するスタートアップ企業R’FNの創業者Yann Heoは「SNOWの勢いをもってしても、ネイバーがアジア圏で勢力を拡大するのは簡単ではない」と見ている。

「LINEがアジアでナンバーワンのメッセージアプリになれなかったように、SNOWはスナップチャットや他の競合に進路を阻まれる。新興市場の若者は今後、スナップチャットに取り込まれていくだろう」とHeoは言う。その証拠として中国ではリンクトイン、韓国ではフェイスブックが、自国のアプリを押しのけて人気になっている。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事